rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2023年12月1日 金正恩の空軍司令部、第1空軍師団祝賀訪問を報道

 

 本日の「労働新聞」は、第1面から第3面まで3ページを費やして、金正恩が11月30日の「航空節」(空軍創設記念日)に際し、空軍司令部及び空軍第1師団飛行連隊をそれぞれ祝賀訪問するとともに、空軍関係者を招いた慶祝宴会を開催したことを報じる記事を掲載した。その骨子は、次のとおりである。

ア 空軍司令部訪問(30日午前)

  • 同行・出迎え者:朴正天元帥、総参謀長李永吉次帥が同行、空軍司令官金光赫大将、政治委員厳柱浩中将が迎接
  • 主な活動:迎接儀式、「作戦指揮所及び作戦方案研究室を視察」、「敵情報告と空軍の作戦計画報告」を受け「作戦指揮及び状況管理情報化実態を具体的に了解」、空軍司令部将兵と記念写真撮影
  • 主な指示事項:「敵どものいかなる軍事的挑発や威嚇にも即時的に強力に対応できるよう空軍の経常的な戦闘動員態勢と戦争遂行能力を万般に高める上で提起される作戦戦術的方針を提示」

イ 第1空軍師団飛行連隊訪問(30日午後)

  • 同行・出迎え者:「愛するお子様と共に・・到着」、「空軍の主要指揮官が迎接」
  • 主な活動:迎接儀式、監視所にて飛行士の示威飛行を参観、訓練参加飛行士らと記念写真撮影、空軍チームと海軍チームのバレーボール競技を観覧、空軍協奏団の公演を観覧
  • 主な発内容言:「戦いの勝敗如何は武装装備の戦闘的諸元により規定されるものではなく、いかなる思想を持って何のために戦うかに掛かっていると、いかに技術的優勢を自慢する敵であっても我が飛行士たちの政治思想的優越性を圧倒することはできないと確言」、「すべての飛行士を・・忠誠と百勝の航路だけを続けていく、我が党の頼もしい不死鳥として、不屈の革命信念を帯びた精神的最強者として徹底的に準備させ(育て)なければならない」

ウ 慶祝宴会開催(30日夕方)

  • 招待者:空軍司令部軍政指揮官と管下の師団、旅団長、政治委員、連隊長、大隊長、飛行士たち
  • 同席者:朴正天元帥、総参謀長李永吉次帥、党中央委員会幹部たち(添付写真では「娘」、金予正の姿あり)
  • 演説:朴正天元

 以上の報道で注目されるのは、空軍司令部訪問時には、作戦指揮の「情報化」に脚光があてられた一方、飛行連隊訪問時には、殊更に精神力の重要性を強調したことである。中枢部の整備はそれなりに進捗しているが、現場の装備(飛行機)までは手が回らないということの表れであろうか。

 また、「娘」は、「示威飛行」参観時には、金正恩と同様、革のコートを着用してサングラスを掛け(目を保護するためであろうが)、大人の風情を醸し出していた。出現当初は「少女」の印象が強かったが、それからわずか1年余で随分とイメージ・チェンジを進めつつあるように思える。

 このほか些事であるが、以前は空軍の正式名称は、「航空及び防空軍」であったように記憶しているが、上記記事では、その表現は1度も出てこない。名称が変更されたのであろうか。