rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2023年9月16日 金正恩ガガーリン飛行機工場参観を報道

 

 本日の「労働新聞」は、ロシア訪問中の金正恩が9月15日朝、コムソムルスク・ナ・アムレ駅に到着、歓迎を受けた後、「ユ・ア・ガガーリン名称コムソムルスク・ナ・アムレ飛行機工場」を参観したことを報じる記事を掲載した。その骨子は、次のとおりである。

  • 同地での主な随行者:崔善姫外相、李炳哲党中央軍事委副委員長、朴正天党軍政指導部長、強純男国防相、呉守容党秘書(経済担当)、朴泰城党秘書(科学教育担当)、金光赫空軍司令官
  • 工場での迎接者:ジェニス・マントゥロブ・ロシア連符政府副首相兼工業貿易相、ロシア航空生産連合体総社長、同工場支配人
  • 主な観覧対象:「設計研究所と戦闘機胴体組み立て職場、飛行機翼生産職場、塗装職場、旅客機組み立て職場をはじめとした工場の諸箇所を見回られた」、「戦闘機胴体組み立て職場において、試験飛行士達と会われ、『Cy57』戦闘機にも乗られ、第5世代戦闘機の技術的特性と飛行性能について具体的な解説を聞かれた」、「工場で生産中の旅客機に乗られて性能をお知りになり、『Cy35』戦闘機の試験飛行を見られ(た)」
  • その他の動向:朝ロ両国随行幹部らと記念写真撮影(『Cy27』『Cy30』前)、総社長主催午餐会出席(支配人歓迎辞、李炳哲答礼辞)、訪問録記帳(「ロシア航空技術の急進する発展相と巨大な蓄力を体感して」)、アクロバット飛行を見せた飛行士と記念写真撮影(『Cy35』前)、「ロシアの航空技術が外部の潜在的脅威を圧倒して急速な発展を成し遂げていることに対し衷心からの敬意を表し、工場の今後の発展成果を祝願」
  • 出発:「この日午後、ロシア幹部達の歓送を受けられ、次の訪問地に向け(コムソムルスク・ナ・アムレ駅を)出発」

 同日の動向で強いて注目点を挙げれば、随行者として金光赫空軍司令官の名前が加わったこと(飛行機工場の参観であるので、当然のことだが)、参観した飛行機の中では、『Cy35』及び『Cy57』(日本では「スホーイ35、57」)に焦点が当てられたことなどがあろう。金正恩としては、これだけ見せつけられれば喉から手が出るほど欲しくなったのではないだろうか。「労働新聞」は、一工場の参観に過ぎない同記事(写真多数)に、14日のプーチン大統領との会談等に関連した一連の記事に匹敵する3ページを費やしている。こうした報道ぶりからも、ロシアの航空技術に対する北朝鮮側(金正恩?)の強い関心がうかがえる。ただし、今後、ロシアが実際に北朝鮮にどの程度の航空技術ないし装備を供給するかは、慎重に見極める必要があろう。

 なお、ロシア報道などによると、金正恩一行は、16日にはウラジオストクに到着した由であるが、その動向については、明日に予測される北朝鮮側の報道をまって論じたい。