rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2024年5月9日 各道、市・郡党委員会による宣伝部門幹部講習会の開催を報道

 

 本日の「労働新聞」は、各道党委員会及び市・郡党委員会が、それぞれ宣伝部門幹部の講習会を相次いで開催していることを報じる記事を掲載した(具体的な開催期日の記載はなし)。その骨子は、次のとおりである。

  • 参加者:「各道、市・郡、連合企業所党委員会の宣伝扇動部幹部と機関、工場、企業所農場の宣伝幹部、革命事績、文化芸蔚、出版報道部門の幹部、各道、市・郡党学校の幹部と教員」
  • 開催目的: 「時代的要求に合うよう党宣伝部門幹部の思想精神と活動方式を革命的に一新し、党思想事業に顕著で実際的な改善をもたらすための対策を立てること」
  • 主な内容:①金正恩の党思想事業改善強化に関する「お言葉」伝達、②「金正恩同志の革命思想により全党と全社会を一色化する聖なる偉業遂行に必要な問題を体得させるための講習」実施
  • 特異事項:最近公開された「親近な親」(=「全国人民が喚起の熱情にあふれ歌う記念碑的讃歌」)の合唱競演を実施、「参加者の熱意を最大限に高潮させた」

 以上のような講習会は、中央レベルでの党第2回宣伝部門活動家講習会(4月20日~23日開催)に続く形で、まず道レベル、次に市・郡レベルで、上記のような末端に至るまでの宣伝扇動部門の幹部を網羅する形で開催されたものといえよう。その進行状況を見ても、金正恩の「お言葉」伝達をはじめとして、「金正恩同志の革命思想による一色化」を主眼にした講習内容など、中央での講習会との一致がうかがえる。

 ただ、この度の地方での講習会で注目されるのは、「親近な親」の合唱競演が実施されたことである。同曲は、4月16日に金正恩出席の下、実施された平壌市和盛地区第2段階住宅建設竣工式後の祝賀公演において熱唱されたのを契機に国内各層への普及が強力に進められているものである。

 「金正恩」の名前を盛り込んだ、こうしたポップソングのような歌を用いた宣伝方式は、従来のいわば神格化された「権威」付けとは異なる新たなスタイルの指導者イメージの形成を目指す動きのようにも思える。そうした動きは、北朝鮮指導部が、情報化時代における人心の変化と言う「時代的要求」に対応して、体制の「一心団結」を維持するため懸命に模索していることを示すものなのであろう。