2023年9月14日 金正恩のボストーチヌイ宇宙基地参観、プーチン大統領との会談などを報道
本日の「労働新聞」は、金正恩が13日、①ロシア・アムール州所在のボストーチヌイ宇宙基地に到着、プーチン大統領と共に同基地を参観した後、②同大統領と会談、③祝賀宴会に出席したことなどを伝える3件の記事を掲載した。それら記事で特に注目される点は、つぎのとおりである。
ア 宇宙基地での参観動向
- 「運搬ロケット組み立て及び試験総合体を視察され、『ソユーズ2』、『アンガリ』をはじめとした運搬ロケットの具体的な技術的特性と組み立て及び発射過程について解説を聴取」
- 「『ソユーズ2』発射総合体と運搬ロケット『アンガリ』発射総合体建設場を視察して、運営及び建設実態とロシアが宇宙事業分野で創造した成果と経験、今後の発展展望について聴取」
イ 首脳会談(全体会合)状況
- 金正恩発言:「朝ロ関係を最重大視し、根の深い親善の伝統を変わりなく発展させていくことは我が共和国政府の一貫した立場」
- 協議事項:「両国間の高位級往来をはじめとした諸分野での多方面的な交流協力を深化させて親善団結と協調関係をより強固にし、相互信頼を増進させることについて論議」、「相互関心事となる重要問題について幅広く深度をもって意見交換が行われ、共同の努力で両国人民の福利を図り、総合的で建設的な双務関係を引き続き拡大していくことについて合意」
ウ 単独会談状況
- 「帝国主義者どもの軍事的脅威と挑発、強権と専横を粉砕するための共同戦線において両国間の戦略戦術的協働をより緊密にし、強力に支持連帯しつつ力を合わせて国家の主権と発展利益、地域と世界の平和と安全、国際的正義を守護していく上で提起される重大な問題(複数)と当面の協調次項を虚心坦懐に討議され、満足する合意と見解一致を見られた」
- 「会談は、終始、同志的で建設的な雰囲気の中で行われた」
エ 歓迎宴状況
- プーチン祝賀演説:「両国間の関係発展と人民の福利と繁栄のため一貫した努力を傾けるロシア政府の変わりない意志を確言」
- 金正恩答礼演説:「ロシア人民に朝鮮人民の戦闘的敬意と温かい兄弟的挨拶を伝えられた」、「プーチン大統領と共に、安定的で未来志向的な新時代朝ロ関係の百年大計を構築し、その威力によって両国における強国建設偉業を強力に推進し、真正な国際的正義を実現していく用意を披歴」
- 金正恩がプーチン大統領の「都合のよい時期」の訪朝を要請、プーチンは、これを「快く受諾」
一連の動向報道において最も注目すべきは、単独会談に関する下線部分の記述であろう。これが具体的に何を意味するのかについては、ここでの憶測・速断は避け、今後の訪問先での動向なども注視しつつ、しっかりと検討することとしたい。
なお、北朝鮮側随行・同席者として名前が報じられたのは、①宇宙基地到着時が崔善姫外相、李炳哲元帥、朴正天元帥、強純男国防相、呉守容秘書、朴泰城秘書、②会談時が崔善姫外相、朴正天元帥、強純男国防相、呉守容秘書、朴泰城秘書、任天日外務省副相、③歓迎宴時が崔善姫外相、李炳哲元帥、朴正天元帥、強純男国防相、呉守容秘書、朴泰城秘書と微妙に変化している。また、これ以外に、添付の写真では、金予正が歓迎宴で呉守容秘書よりも上座に着席したほか各所で随行している姿、宇宙基地参観時に金正植党軍需工業部副部長らしき人物が金正恩の間近に立つ姿などが認められる。