rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2023年7月26日 「戦勝70周年」を契機に中ロとの連携を強化

 

 本日の「労働新聞」は、「戦勝70周年」に際しての金正恩の祖国解放戦争烈士廟及び中国人民志願軍烈士陵園への訪問及びロシア連邦軍事代表団の到着(いずれも25日)を報じる記事を掲載した。

 まず、祖国解放戦争烈士廟訪問は、強純男国防相をはじめとする「国防省指揮官と朝鮮人民軍軍種司令官、大連合部隊長」が同行し、そこで金正恩は、朝鮮戦争「戦勝」の意義について「新たな世界大戦を防いだ人類史的な大勝利」と述べるとともに、「偉大な年代に発揮された英雄精神と闘争姿勢を我が革命特有の不可抗力として輝かしく継承していくとき、世界で最も尊厳があり自主的な強国(である)朝鮮民主主義人民共和国は永遠に常勝長駆するであろうと確言」したという。

 一方、中国人民志願軍烈士陵園への訪問では、趙勇元秘書、強純男国防相、崔善姫外相、金成男党(国際)部長、金予正党副部長が同行し、朝鮮戦争での中国人民志願軍の貢献について「反帝反米闘争を英雄的な犠牲で支持声援し戦争勝利に重大な貢献をした」と述べるとともに、朝鮮戦争について「自らの尊厳と名誉、自主権を保衛し、世界平和と安全を死守するための正義の戦争であり、平和愛好力量と進歩的人類を代表して帝国主義支配勢力に立ち向かい戦った先鋭な政治軍事的対決であった」として、その国際的意義を改めて強調した。その上で、中朝関係について、「反帝自主、社会主義偉業実現のための聖なる闘争の中で血縁の紐帯を結び、正義と真理の力で帝国主義者の反動的攻勢を果敢に粉砕していく朝中両国人民の団結の歴史と伝統は世代を経るごとに固く継承されるであろう」と述べたとされる。

 また、25日に平壌に到着したシェイグ国防相を団長とするロシア連邦軍事代表団に関しては、強純男国防相、鄭慶沢総政治局長、朴守吉総参謀長という軍トップ3人をはじめとする多数の軍将兵を動員して空港での出迎え行事を行い、「朝鮮人民軍将兵は、帝国主義者の強権と専横に立ち向かい国家の主権的権利と発展利益を守護し、国際的正義を実現するために戦うロシア軍隊と人民に対する戦闘的敬意と全面的な支持を表示した」とされる。

 朝鮮戦争「戦勝」の「人類史的」意義については、7月24日「労働新聞」掲載の論説で、米帝の世界制覇戦略実行を阻止破綻させ、人類の平和と安全を守護した」などとして打ち出されたことは同日付け本ブログでも紹介したとおりであるが、金正恩の前述発言も、それを踏襲したものといえる。また、ロシアのウクライナ侵攻に関する前述のような表現は、まさに、それと朝鮮戦争を同様の国際的な反帝闘争として並列させるものといえる。

 結局、こうした一連の主張を総合すると、北朝鮮と中国、ロシアを過去・現在において反帝反米闘争を共に戦う「戦友」と位置付けるものといえよう。こうした3国の反米連帯関係は、近々に実施される「戦勝70周年」の軍事パレードにおいて、一層象徴的に誇示されるのであろう。