rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2021年7月29日 金正恩、友誼塔を参拝

 

 本日の「労働新聞」は、7月28日、金正恩が「戦勝節」に際して友誼塔を訪問し、花輪を献じたことを報じた。友誼塔は、朝鮮戦争への中国人民志願軍の参戦を顕彰するためのものである。

 金正恩は、同地で「我が人民の聖なる歴史的闘争を血によって支援した中国人民の高貴な魂と功績は、繫栄する社会主義朝鮮と共に不滅である」と述べたとされる。

 金正恩は、昨年10月の志願軍参戦70周年に際しても同所を訪れているが、「戦勝節」に際しての訪問が報じられたのは初めてのことである。しかも、今年は「戦勝68周年」であり、いわゆる節目の年でないにもかかわらず、こうした訪問を行うのは、それだけ中国への配慮をアピールしたいとの思惑によるものであろう。なお、金正恩は、27日の第7回全国老兵大会における演説の中でも人民志願軍の参戦に言及していた(昨年の第6回大会でも同旨の言及あり)。

 ところで、上記引用部分を深読みすると、中国の朝鮮戦争参戦は「繫栄する社会主義朝鮮」があってこそ引き続き意義を有する、つまり、今、北朝鮮への支援を止めて同体制が崩壊するようなことになれば、参戦の意義も喪失されることになる、とも解釈できる(ちょっと考え過ぎだろうか)。

 同記事でもう一つ注目されたのは、李炳哲の同行が報じられたことである。報道文中には肩書の記載はなかったが、添付の写真では、参拝時に金正恩の左側隣に位置しており、その外側に軍首脳である朴正天総参謀長、権英鎮総政治局長、李永吉国防相がいる(右側隣は趙勇元組織秘書)ので、おそらく軍事委員会副委員長の肩書を維持していて、軍事部門の筆頭の立場を認められたものと推測される。ただし、軍服は着ていないことから、元帥として軍人筆頭の立場にあったかつてとは自ずと異なる立場にあると考えられる。

 それと余談だが、朝鮮中央テレビの第7回全国老兵大会のニュース映像を見たところ、金正恩の演説を肉声で伝えていたが、気のせいか声が以前よりもしわがれているように感じられた。お風邪でも召したのであろうか。