rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2021年7月28日 第7回全国老兵大会開催を報道

 

 昨日の本ブログで指摘した通り、本日の「労働新聞」は、標記大会が7月27日開催されたことを報じる記事を掲載した。開催場所は、祖国解放戦争勝利記念塔前の屋外広場であり、しかも夜間の開催で盛大な花火の演出付きということで、昨年の室内での型にはまった進行とは趣を変化させたことがうかがえる。

 大会では、金正恩が演説した。記事では、「戦勝世代子孫の栄えある使命は、偉大な首領、偉大な党の領導の下で創造された偉大な勝利の伝統と英雄精神を輝かしく継承し先烈が守り抜き打ち立てたこの国をより強大にし、限りなく繁栄するようにすることである」と述べたと報じている。

 なお、別途報じられた演説文をみると、この表現はそのままの形では見受けられないが、「ひたすら自己の党だけを絶対的に信じ、党決定を命を捧げて奉じた固い革命精神、自分の力と勝利を確信し祖国の前に迫った生死存亡の危機を受けて一身を躊躇なく捧げた決死の犠牲精神、苦難と試練を克服し復旧と建設へと力強く進んだ不屈の闘争精神、困難の中でも互いに支え助け思いやり社会主義の新勝利を整えた高尚な集団主義精神が今日の闘争と生活の中で生き高揚するようにします」という部分に、老兵たちの何をもって継承すべき「英雄精神」と称しているのかがうかがわれる。

 記事には多数(37枚)の写真が添付されているが、その多くは、金正恩が出席した参戦歴を持つ元高位幹部らと懇ろにあいさつを交わしている場面であり、同人のそうした姿勢をアピールすることも同大会の狙いの一つであったと考えられる。

 このほか、同日には、平壌市をはじめ全国の主要都市で、「戦勝節」祝賀の芸術公演などが実施された。また、青年たちによる舞踊会(フォークダンス大会)が主要都市に加え、全国の市・郡において実施されたという。青年たちにとっては、「戦勝」云々というよりも異性と手を握れる楽しい行事の日となっているのかもしれない(最初に若干の演説は聞かされるのかもしれないが)。