rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2021年1月5日 論説「我が人民を勝利の一路へと導く偉大な党」

 

 本ブログ執筆時点(5日午前11時)時点では、党大会開催に関する報道は伝えられておらず、少なくとも昨日までは開幕していないとみられる。12月30日に出席者に対する代表証授与式を行ったことから年明け早々の開幕は間違いないところで、おそらく今日から開幕ではないかと思われる(前回大会の際は、開催日の午後10時になって初めて報道の由)。

 そのような中、本日の「労働新聞」冒頭に「党の領導にしたがって人民の理想と念願が花咲く新たな時代を引き寄せよう」との共通題目の下、掲載されたのが標記評論である。

 評論は、まず、「革命する人民において矜持と自負心は、何より貴重である。大きな矜持と自負心から直面する試練を打開していく強固な精神力も、明日に対する信心と楽観も生まれ出る」として、「矜持と自負心」の重要性を強調した上で、「偉大な党の領導」の効用として、次の2点をあげている。

 第一は、「偉大な党の領導の下、我が人民は世間で最も尊厳高い人民として威容を轟かせている」ことである。「人民の尊厳と利益を固く守護することは我が党の第一の使命である」という。

 第二は、「偉大な党の領導の下、我が人民はより立派な明日を引き寄せる矜持高い人民として誇りを轟かせている」ことである。

 同評論の主張は、要するに、党の指導によって人民に与えられるものは、「矜持」「自負心」「尊厳」といった精神的要素であり、それらの要素が革命(建設)を推進していく最大の動力になるということであろう。標題に即して言うと、党は、人民に対してそのような要素を与えることによって「勝利」へと導いているということになろう。このような主張は、換言すると(やや強引な論法であるかもしれないが)、党が人民に与えるものは、物質的な富ではなく、精神的な状態であるということではないだろうか。端的に言えば、何を建設したかではなく、どのように感じさせたかが最も重要ということになる。そして、そのような基準からすると、今日、朝鮮労働党は偉大な成果を収めているということになるのであろう(「国家経済発展5カ年戦略」の目標未達成にもかかわらず、「80日戦闘」への国を挙げた「総邁進」などの「取組み」によって、「勝利」の雰囲気を演出してきたことは、これまでに本ブログで繰り返し指摘)。

 まもなく示されるであろう党大会の総括報告も、おそらくそのような基本的発想に基づき、総括期間における「偉大な勝利」を主張するのではないかと考えれる。