rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2021年1月3日 評論「偉大な我が親、無窮に仕え奉じん」

 

 標記評論は、1日に発表された金正恩の「親筆書簡」について論じたもの。

 それを受け取った人々の心情について、「人民に対する熱火の情と愛があふれ出る親筆書簡の一言一言を読むほどに人民の幸福と安寧のため献身の千万里を歩んでこられた我が元帥様の考えに胸が熱くなる」、「人民が捧げる感謝のあいさつ、新年の祝賀のあいさつを受けるべき敬愛する元帥様が全国の人民に愛の親筆書簡を送って下さったのだから、千万の心臓がどうして報答の誓いで一層燃え上がらないでいられようか」などと解説している。

 そして、その結果、「歴史のいかなる強風が吹き荒れようとも敬愛する元帥様にしたがって社会主義一路を最後まで進む千万軍民の信念のこだまが希望に満ちた新年のこの江山により一層荘厳にとどろきわたる」などして、国内の団結が強化されたと主張している。

 また、同評論とともに掲載されている「党にしたがって永遠に一路を進む鉄石の信念と意志 敬愛する最高領導者金正恩同志の親筆書簡を受けた各界の反響」と題する記事は、「人民の忠僕としての本分を尽くす」と題する清津市党委員会副委員長の投稿をはじめとして、国家科学院副院長、東平壌火力発電所技師長、定州市日海(音訳)協同農場管理委員長、天聖青年炭鉱1坑坑長らの投稿記事を紹介している。

 一連の報道は、要するに、人々が親筆書簡を受けた「感慨」をそれぞれの職責をまっとうすることで果たしていくことを求めるものといえよう。換言すると、それが書簡発出の狙いということであろう。

 ちなみに、昨日(2日)に掲載された政論「2021年の初朝」も、同「親筆書簡」に対する人民の「感動ぶり」を伝えるものであったが、そこでも、「人民がまず先に送るべき(新年)祝賀のあいさつ」を金正恩が先に送ってくれたことに対する恐縮・感謝の気持ちが強調されていた。朝鮮中央放送が伝えるニュース映像の中で紹介された「親筆書簡」に対する各界ないし街頭(?)の人々の発言の中でも、そのことが繰り返し言及されていた。なるほど、標記評論の題名に示されるとおり、金正恩は、金日成金正日同様、既に「偉大な親(어버이)」と位置付けられているのであった。1日付け本ブログでは、「親筆書簡」の内容をもって「親人民的」なものと述べたが、そもそも、金正恩が先に祝賀文を発表すること自体が「有難いこと」になるとは、そこまでは思いが至らなかった。新年早々、己の北朝鮮認識の甘さを反省している。