rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2021年1月2日 「80日戦闘」の結果について

 

 標記に関し、昨日(1日付け)の「労働新聞」に「朝鮮中央通信報道 朝鮮労働党第8回大会を輝かす全人民的志向と天を衝く闘争気勢の力強い誇示 忠誠の80日戦闘が勝利のうちに結束されたことについて」と題する長文の記事が掲載された。同戦闘に関する公式的な総括を示すものといえよう。その骨子を紹介したい。

 まず、その取組み態勢については、「中央から下部末端単位に至るまで各級戦闘指揮部が迅速に組織され、建設的で動員的な戦闘目標を立て、日別・週別・月別で執行のための掌握総括と科学的で確実な方策を講究」する形で推進されたとしている。

 取組み結果については、課題ごとに紹介しており、まずコロナ防疫活動に関し、「中央非常防疫部門の指示と布置が時期別、地域別、部門別に続々と作成・示達され、執行対策が徹底して施行され、現れた偏向が定期的に厳格に総括対策された。(その結果)人民すべてが自ら防疫の主体となり国家と自分自身と子供たちを守るための大衆的な防疫雰囲気を高潮させた」としている。こうした中央集権的コントロール体制の整備が北朝鮮指導部の理想とするところであることは、本ブログでもかねて指摘してきたところである。それをコロナ防疫を名目に実践したということではないだろうか。

 次に「我が党が全力を投下した最前線である(自然)被害復旧」について、「世人を驚かす奇跡が絶え間なく創造された」として、「被害地域に仙境村が続けて建築され、全国の水災民がすべて新しい住宅に入居」し、「数百か所の橋、千数百か所の道路、多数の灌漑水路、構造物の復旧工事と河川整理を成果的に締めくくった」としている。

 また、農業部門に関しては、「全国的に秋収と脱穀が適期に終わった」としているが、穀物生産結果については、「全国的に百数十個の多収穫農場が輩出した」という以上の具体的な言及はない。また来年度の営農準備を「本格的に進め、耕土の入れ替えと自給肥料生産目標を占領した」としている。

 経済建設に関しては、まず各種建設工事に関し、「誇らしい成果を達成した」として、多くの完成物件を紹介している。また、各部門の生産面に関しては、「工業部門の52個の主要指標別計画が成果的に達成された」とした上で、部門ごとの成果を次のとおり列挙している。

金属工業:金策製鉄連合企業所、黄海製鉄連合企業所、千里馬製鋼連合企業所などで鋼鉄、銑鉄、圧延鋼材、鉄鉱石をはじめとした主要指標の計画を前倒しして完遂

化学工業:諸工場、企業所で主要指標の先頭課題を遂行

電力工業:電力工業省の戦闘計画を106.4%超過遂行

石炭工業:戦闘目標遂行率を102%(達成)

機械工業;トラクター、水力発電機、削岩機、空気圧縮機をはじめとした主要指標の計画を期限前に完遂

鉄道輸送:鉄道省の貨物輸送計画を105%で遂行

セメント:祥原セメント連合企業所で5か年戦闘目標を占領、順川セメント連合企業所、川内里セメント工場などでも被害復旧戦区と各地建設場に必要なセメントを適時に生産保障

採掘工業(鉱業):多くの単位で戦闘課題を完遂

林業:40余個単位が戦闘計画遂行で模範を発揮

軽工業:主要指標別計画を成果的に締めくくった

科学技術:各地4・15技術革新突撃隊が戦闘期間内に7900余件の技術革新案を創案導入

 産業部門ごとの成果を見ると、具体的な達成率を示した電力、石炭、鉄道運輸部門が順調、主力産品、企業所で計画完遂が伝えられた金属、セメントがそれにほぼ準じたとみられる。機械工業、軽工業もそこそこ善戦か。一方、化学工業部門は、苦戦がうかがえる。このような結果はこれまでの途中経過報道とも概ね一致する。

 ただし、実態がいずれにせよ、以上のような同「戦闘」展開の結果については、「2020年が偉大な闘争の年、団結の年、勝利の年として、社会主義強国建設史に輝かしく刻まれることとなった」と総括されている。本ブログでも繰り返し指摘してきたところだが、こうした評価を示した上で、今年の大会を迎えることがそもそもの狙いであったのであろう。