rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2021年10月3日 9月人民経済計画遂行状況を報道(10・4追加版)

 

 本日の「労働新聞」は、標記に関し、「我々式社会主義建設の新たな発展のため力強く働いていこう 党決定を決死貫徹する気勢高く継続奮闘 人民経済諸部門と単位で9月生産計画完遂」と題する記事を掲載した。

 結論を先に書くと、9月の計画遂行状況も、記事の見出しとは裏腹に、先月同様、部門全体としての完遂報道はなく、企業所としての完遂報道もさほど多くはない。以下、部門ごとに「計画完遂」または「遂行」の表現が用いられた単位のみ紹介する。

金属工業部門:黄海製鉄連合企業所:鋼鉄、圧延建材生産計画を完遂

化学工業部門:興南肥料連合企業所:肥料生産計画を遂行

       2・8ビナロン連合企業所、順川化学連合企業所など:重要指標別生産        計画を完遂

電力工業部門:北倉火力発電連合企業所・・をはじめとした各地火力発電所:電力生産

       計画を完遂

石炭工業部門:堤南炭鉱と南徳青年炭鉱:毎日計画より多い量の石炭を生産

鉄道運輸部門:なし

機械工業部門:大安重機械連合企業所と楽元機械総合企業所:託された生産計画を遂行

林業部門:慈江道林業管理局:託された生産計画を完遂

セメント生産:各地セメント生産単位において9月人民経済計画を完遂

軽工業部門:平壌靴下工場・・など織物工業部門で・・織物衣料、靴下生産計画を遂行

 こうした報道ぶりから見て、少なくとも生産計画に関しては、概して苦戦が続いていると見て間違いないであろう。

 ただし、公平を期するために敢えて言うと、こうした生産量における計画未達の背景には、原材料やエネルギーの不足、生産設備の老朽化といったこと以外に、次のような背景も考えられないわけではない。

①生産計画自体が野心的に過ぎ、生産能力などに比し、そもそも達成困難な水準に設定されている。

②最近の「質」重視の流れのようにかつてのようにやみくもに生産量だけを追求する風潮が影を潜めた。

③生産設備の補修や交換などの作業を並行するため、生産活動が制約される。

 とりわけ、③については、本記事にも、関連の記述があり、一定の影響を及ぼしていると考えられる。生産基盤の整備・増強は、5か年計画の目標でもあり、そこは、経済活動全体の成果を評価するにあたり、ある程度勘案する必要があろう。

以下、10月4日、追加

 10月3日付け朝鮮中央通信の記事によると、

・「石炭工業省的な3・4分期石炭生産計画が完遂された」

・「鉄道省的な3・4分期貨物輸送計画が超過達成された」

という。

 これら部門では、「3・4分期」すなわち7~9月期間においては、計画を達成できたということになる。しかし、これら部門に関する、この間の各月の報道では、いずれも部門としての「計画達成」との表現は用いられていない。

 こうした報道については、ある部門で「計画達成」ができていても、必ずしもその旨の表現がないこともあり得ることを示すものであるのか、あるいは、月別の計画と分期の計画達成に関しては、統計を取るうえでの何らかの数字のマジックのようなものがあってのことであるのか、必ずしも判然としない。