rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

11月23日 「80日戦闘」前半の成果

 

 「80日戦闘」の実施期間については、公式報道では管見の限り明示されていないが、10月10日の党創建記念日が土曜日であったので、その週明け月曜日の10月12日から開始されたとすると、12月30日が80日目に当たることになり、この時期がそれに充てられていると考えられる。そうであるとすると、11月20日が開始以来40日目に当たり、「戦闘」期間の前半が終わったことになる。

 そこで、その成果が注目されるが、これまでのところ「前半の総括」であることを明示した報道は見当たらない。ただ、昨22日付けで「果敢な連続攻撃戦の火の手高く職場ごとで偉勲を創造していく 人民経済各部門で80日戦闘成果継続拡大」と題する記事が掲載されているので、その骨子を紹介したい。

 同記事は、産業部門ごとに成果を記述しているが、その中で、現時点までの「目標完遂」が明示されているのは、次の部分である。

・金属部門:「銑鉄、鋼鉄、圧延鋼材の生産目標が完遂され、鉄鉱石、電極をはじめとする諸指標の計画も円満に遂行されている」

・機械部門:「80日戦闘目標に反映された(盛り込まれた)対象設備生産課題を日程計画を超えて遂行」

林業部門:「林業省傘下の各地林産事業所、坑木生産事業所の幹部と労働者が毎日、丸太生産目標を超過遂行」(超過達成が林業省全体としてなのか、多くの事業所において、の意味なのか判然とせず)

・農業部門:「全国的に穀物刈り入れと脱穀が全部結束された」

 一方、上記以外の電力、石炭、採掘(鉱業)、鉄道運輸、軽工業の各部門に関しては、個別の工場等について「目標完遂」を報じる部分はあるが、部門全体としてはもとより、主要産品などの目標達成状況を明記せず、「革新をなしとげている」といった抽象的な表現に終始している。

 以上の報道内容を11月11日に掲載された「80日戦闘」の開始以来30日間の成果に関する記事内容と比較すると、そのときには「目標完遂」が明記されていた電力、石炭及び鉄道運輸部門について、今次報道では、その表現が見られないことが注目される。

 同記事は、前半40日間の総括であることを明示したものではないので、それだけでこれら部門の失速を結論付けることはできないが、その可能性を指摘することは許されよう。これら部門は、エネルギー供給及び物流という文字通り「経済の先行部門」であるだけに、仮にこれら部門が失速すれば、今後、他の部門にそれが波及拡大するおそれがある。今後の状況を注意深く見ていく必要があろう。