rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

11月22日 社説「首都党員師団戦闘員たちの闘争精神に学んで80日戦闘で輝かしい勝利を成し遂げよう」

 

 標記社説は、20日に帰還した首都党員師団を社会の模範とすることを訴えるもので、まず、その何を模範とすべきかから論じている。

 最初は、「首領に対する無限の忠実性を帯び党の信頼と期待に決死の実践で報いた」ことである。次にあげるのは、「最も苛酷な難関の中でも絶対に屈しない朝鮮革命家の信念と意志を余すところなく誇示した」こと、そして最後に「全国が試練を共に打開していく美しいい社会主義国風を確立する上で大きく寄与した」ことをあげている。

 社説は、その上で、次のような課題を掲げている。第一は、「すべての人民が首都党員師団戦闘員たちの帯びた党性、人民性、革命性に学ぶ」ことである。第二は、「首都党員師団戦闘員たちの闘争精神に学ぶための事業を革命実践と密接に結びつけて遂行する」ことである。これは、それぞれの職場などにおいて、「条件と可能性を論じる前に党が提示した戦闘目標は無条件に遂行しなければならないとの透徹した精神を帯びて毎日を革新的成果で輝かしていく」ことを意味するものとされている。

 また、その方法論としては、「首都党員師団戦闘員たちのように生き闘争する気風を確立する上では、党組織の役割が重要である」として、各党組織が「自己の単位の幹部と党員、勤労者も首都の(党員師団に参加した)核心党員たちが高い思想精神世界に至るようにするとの目標を立て、政治事業の度数をより高めていく」ことなどを求めている。

 以上のような社説を読んで一種の既視感を覚える。それは、「白頭山革命戦跡地踏査」キャンペーンが展開された当時の「抗日革命烈士に学べ」という主張との類似性である。端的に言えば、北朝鮮指導部は、首都党員師団を現代の抗日パルチザン部隊として位置付け、新たな「神話」を作り出そうとしているのではないだろうか。それがどれだけ効果的かは、何とも予測しがたいが、80年も昔の事績を持ち出すよりは、同時代のことのほうが説得力があるのかもしれない。