rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

9月29日 災害復旧関連報道まとめ

 

 標記に関しては、まず、「最精鋭首都党員師団の戦闘力を力強く誇示し完工の日を繰り上げる 第2首都党員師団」との共通題目の下、「忠誠と愛国の汗で開く転変の新たな姿」、「創造的で進取的な作戦と指揮で」、「集団主義の威力を震わせ」と題して、同師団傘下の個別の部隊の状況を報じる記事が掲載されている。これは、昨日、「被害復旧戦区で革命熱、闘争熱を百倍にする抗日遊撃隊式政治事業 第1首都党員師団において」との共通題目の下、「一から十まで火線式で一貫させ」などと題した記事が掲載されたのに続くものである。これら一連の記事の特色は、各部隊の工事成果ではなく、仕事ぶりや宣伝教養活動などに焦点が当てられていることである。ここからも、両師団編成の狙いが復旧事業の労力確保にとどまらず、参加者の教育にあることが改めてうかがわれる。

 一方、「被害復旧戦域に社会主義仙境を花開かせる勝利のその日に向かって!」との共通題目の下では、上記以外の各被災地での復旧活動の進捗状況や経済諸部門での復旧事業に向けた資材供給への取組みなどを紹介する記事を掲載している。

 なお、そのうち「仕上げ作業を質的に」と題する記事は、「(江原道)板橋郡被害復旧に参加した戦闘員たちが住宅建設を結束段階で推進」していることを報じるものであるが、そこに動員された部隊として、「元山カルマ海岸観光地区建設平壌市旅団」のほか同じく「平安南道旅団」「咸鏡北道旅団、南浦市旅団」の名前をあげている。今次災害復旧関連報道の中で同地区建設に関連する部隊の名前があげられたのは、「鉄原郡被害復旧に奮い立った元山カルマ海岸観光地区建設社会安全省旅団」(9月16日本ブログ参照)の例がある。

 こうした報道から勘案すると、同地区建設に動員されていたのは、おそらく全国の各道・直轄市を構成単位とする「旅団」及び「社会安全省旅団」であり、それらが現在は、災害復旧のため同じ江原道内の各地に分散して派遣されていると考えられる。「旅団」と称する以上は、少なくとも千人前後には達すると考えられるので、同地区建設には、少なくとも1万人程度が動員されていたことになり、今次台風の襲来直前までは、その建設事業が引き続き強力に推進されていたことがうかがえる。いずれ災害復旧活動が一段落すれば、これら部隊は、同地区建設に再度投入されるのであろうが、その完工がいつになるのかは、皆目見当がつかない。