rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

9月17日 「朝鮮労働党中央委員会部署と勤務員家族が咸鏡南北道被害地域人民を誠心誠意で支援」

 

 標記記事によると、「朝鮮労働党中央委員会部署と勤務員家族が支援する生活用品と食料品、建設資材などを乗せた列車とトラックが咸鏡南道洪原郡と端川市、咸鏡北道金策市に到着した」という。そして、これらを崔富日(政治局委員・軍政指導部長?)、許哲万(音訳、同候補委員・幹部部長?)、朴明順(同候補委員、軽工業部長?)呉日晶(同候補委員・党部長)ら中央委幹部が現地幹部に伝達した。同人らは、また、「剣徳地区の被害状況と人民の生活の様子を現地で具体的に了解」し、被災民らを激励したという。

 党中央の勤務員及びその家族は、あちこちの被災地への支援物資の送付やら復旧作業への動員やらで大変と思うが、これは、すべて、「党と人民の渾然一体、一心団結」を目指す金正恩の意を受けたものといえよう。ただ、「生活用品と食料品」くらいは、個人の努力で献納できるとしても、「建設資材」となると、結局、組織の力でどこからか調達してこざるをえないのではないだろうか。あるいは、それが個人的にできるほど党中央勤務員の「懐」は豊かで、「絞れば絞るほど油が出る」という状況なのであろうか。

 それ以外の被害復旧関連記事の中で注目されたのは、剣徳地区と端川市を結ぶ臨時道路建設工事が「基本的に結束した」とのニュースである。驚いたのは、それを成し遂げたのが「端川地区鉱業総局傘下の各鉱山、工場、企業所の幹部と労働階級」とされていることで、昨日の報道で同工事への取り組みを報じられていた人民軍部隊についての言及はない。いかにも北朝鮮らしい「縦割り」ぶりがうかがえる出来事である。前述の中央幹部も、この臨時道路を通って剣徳を視察したのであろうか。

 一方、「首都党員師団」に関しては、「最精鋭首都党員師団らしく復旧戦闘と生活のすべての面において立派な模範を創造していく」との共通題目下、「別動隊としての聖なる本分を尽くすように」と題する記事をはじめ数件の記事が掲載されている。これら記事では、復旧作業の内容よりも、むしろ、取り組み姿勢、現場での宣伝活動、被災地での規律ある生活などに焦点が当てられている。同師団の編成・派遣の狙いが、被災地への労力提供のみならず参加者(平壌在住党員)の教育・感化にあることをうかがわせるものといえよう。