rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

9月16日 金正恩黄海北道金川郡江北里現地指導(補論:ニュース映像を見て)

 

 昨日の本ブログで紹介した標記現地指導に関し、朝鮮中央放送のニュース映像を見たので、些細かつ雑駁なものだが、いくつか気づきの点を述べたい。

 第一は、金正恩の歩行速度など身のこなしが、あの体形にしては軽快というか、少なくとも体調不良を感じさせるようなものではなかった点である。随行の軍幹部が小走りになる場面も何回かみられた。これを見る限りでは、「健康不安」説には懐疑的にならざるをえない。

 第二に、報道記事中にあった随行幹部との「討議」を行っているような場面は、動画上では、ナレーションでその部分が読み上げられた時点のみならず、全体を通じて一度も現れなかった。会話場面の大半は、金正恩が身振り手振りを交えて熱弁を振るうか、施工に当たった軍幹部から説明を聞いている光景で占められていた。

 第三は、報道の順位から地位不詳とした朴太成の「立ち位置」などについてで、崔竜海、朴奉柱、金才竜の3人よりはやや控え目な印象があるものの、政治局委員・副委員長である李日愌にほぼ準じる位置におり、記事では先に名前が上げられた金勇帥財政経理部長よりは前にいることが多かったように思える。したがって、その地位は微妙としかいいようがない。

 ちなみに、報道写真では姿が見られなかった玄松月宣伝扇動部副部長は、金正恩一行とはやや離れて動き回っている姿が画面の端に何回か写されており(他の幹部のように金正恩の周囲を取り囲んで指示をメモしたりする場面は一度もなし)、訪問施設に先行するなど「お世話役」に徹した動きをしているようにみえる。それが同女の役割と考えられる。今回は珍しくズボンを着用していた。被災地の特性からであろう。