rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

9月30日 党中央委第7期第18回政治局会議開催

 

 標記会議が9月29日に開催されたことが報じられた。

 金正恩の参画については、直接的には、同会議に「参加」し、「政治局の委任により司会」したと表現される一方、「金正恩同志の指導の下に進行された党中央委員会第7期第18回政治局会議」との表現もみられらた。以前の本ブログで検討したとおり、これらの表現から特段の意味をくみ取るのは、これまでのところ困難である。

 会議の議事内容としては、3点が報じられた。第一はコロナ防疫への取組みについてであり、「現れている一連の不足点を指摘し、国家的な非常防疫事業をより強度を高めて施行することについての該当する問題が深く研究討議」され、「防疫部門における自慢と放心、無責任性と緩慢性を徹底して警戒」し、「鋼鉄のような防疫体系と秩序を確固として堅持」することが強調されたという。ただし、特段の「決定」がなされたとの表現はない。「一連の不足点」などの表現についても、特に深読みする必要はないと考える(かつて、あるテレビ番組がそうした表現をとらえて、「コロナ患者発生を示唆するもの」といったコメントをしていたが、牽強付会と言わざるを得ない)。

 第二は、党創建75周年関連の活動と災害復旧状況について「点検」し、それらの「成果的保障」のための「組織的対策を提起し、討議決定」したことである。

 第三は、「組織問題」であるが、「取り扱われた」という以上の言及はない。従前の例では、この議題に関しては、政治局、中央委員会の委員・候補委員や党中央部署の部長、第一副部長クラスの任免が明らかにされており、結果が一切報じられないことは、むしろ関心を引くものである。、

 そして、同会議の意義として、「党創建75周年を真正な人民の名節として、全人民的な慶事として盛大に慶祝し、国家経済発展5カ年戦略を締めくくる今年を勝利的に結束するための現実的な措置(複数)を取った」としている。「国家経済発展5カ年戦略」については、達成困難と目されているところ、あえて上記のような形で言及したことが注目される。

 以上の報道から見る限り、第一、第二の議題は、当面の重要課題ではあるが、特段の新方針を打ち出したわけではなく、敢えて政治局会議を開催するまでの必要性があったのか若干疑問の余地もある。そうすると、実は、今回の会議開催の必要性は、結果未公表の「組織問題」のためであったとも考えられるが、憶測の域を出るものではない。あるいは、当面の政策の推進状況の点検・督励のために随時この種の会議を開いて意思統一を図っていくというのが、北朝鮮政治の「新常態」であるのかもしれない。

 なお、「労働新聞」に掲載されている同会議の写真は、すべての参席者を鮮明に写したものではないので確定的なことは言えないが、ざっと見た限りでは、7月末以降姿を現していない金与正の姿を認めることができない。同女の動静は引き続きの注目点といえる。