rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

9月8日 金正恩「公開書簡」への反響報道を継続

 

 本日の「労働新聞」も、昨日に続いて、金正恩の「首都党員師団」への参加を呼び掛ける「公開書簡」に対する各界の反響を報じる記事が満載されている。

 まず、「敬愛する元帥様に従って空陸の際まで」と題する評論は、「公開書簡に接し、再び激情の海に転じた我が祖国、全国津々浦々で轟く人民の声、千万心臓の吐露をここに記す」とした上で、とりわけ「咸鏡南北道の被害地域は世界に二つとない激情の炎、感謝の涙で海が海を成した」などとして、被災地における感謝の高まりを強調するとともに、同書簡によって、人民の間で、「敬愛する元帥様がいらっしゃるので、我々の前途は洋々である! 人民の心臓はこの信念で熱く、この意志で鼓動する。 首都平壌が忠誠の溶岩へと沸き立つ」など、度重なる災害に屈しない姿勢が喚起されたと主張している。同「書簡」発出の宣伝的な次元での狙いは、概ねこういったところであろう。

 同評論に続けて、「党創建75周年と党第8回大会を固く保衛する火のような熱意、忠実な気勢 敬愛する最高領導者同志が首都平壌のすべての党員に送られた公開書簡に応えて」との共通題目の下、「第1首都党員師団参謀長」の「決死擁衛の生塞、防壁になる」と題する投稿や、祥原セメント連合企業所職場長、金属工業省局長、鉄度省局長、咸鏡南道林業管理局処長らによる各部門での復旧作業への貢献に向けた決意を述べる投稿などが掲載されている。

 しかし、首都師団の被災地への出発についても、それに先立って予定されている「決意集会」開催などに関する報道もない。おそらく7日には、台風10号が北朝鮮を通過しており、さすがにそのような中での出発はできなかったとみられる。おそらく、今日にも出発し、明日にはそれが報じられるのではないだろうか。ただ、平壌市から咸鏡南北道への大量の人員・機材の輸送は、そうでなくても緊張している北朝鮮の輸送力を勘案すると困難を極めるものと考えられる。師団主力の被災地への到着・活動開始まで、どのくらいの時間がかかるのか、北朝鮮の「総合力」を示すものとして注目される。