rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2021年12月30日 社説「敬愛する金正恩同志の領導に従い進む我が革命武力は永遠に百戦百勝するであろう」(12月31日記)

 

 標記社説は、いうまでもなく2011年12月30日、金正恩朝鮮人民軍最高司令官に就任にして10周年になるのを記念したもの。

 まず、その間の金正恩の軍事部門に関する指導実績として、次のような点をあげている。

 第一は、「我が革命武力を朝鮮労働党の革命的武装力としてより強化発展」させたことである。すこの背景には、「革命武力建設偉業は、本質において革命的党軍建設偉業であり、党の領導は革命武力の生命線である」との考え方がある。

 二番目は、「我が革命武力を政治軍事的にしっかりと準備された無敵必勝の強軍として育てた」ことである。ここに軍内の規律強化、戦闘準備態勢の向上、軍備増強などがすべて含まれている。

 三番目は、「我が革命武力が社会主義建設を力強く推進するよう」にしたことである。「国家防衛の主体、郷土防衛の頼もしい武装力としてだけでなく、社会主義建設の主導的で核心的な力量」として位置づけ、そうした役割を発揮させたということである。

 その上で、「敬愛する金正恩同志は、我が国家の強大性の象徴であり、偉大な尊厳の代表者」であるとして、「党中央の思想と領導を一心全力で奉じていかなければならない」など、同人への忠誠を改めて訴えている。

 そして、最後に、「我が党の鉄石の支持点であり国家防衛の柱である人民軍隊強化に最優先的な力を注がなければならない」として、「自衛的国防力を最強のものとしてより固め、全民武装化、全国要塞化を高い水準で実現」すること、「軍民の団結した威力で社会主義建設の新たな発展期を力強く切り開いていく」ことなどを訴えている。

 本社説の論旨は、基本的に従前どおりのものであるが、注目されるのは、軍事力の整備が余り大きく取り上げられず(核ミサイルなどへの言及もみられない)、むしろ、党の領導徹底など政治・思想面の問題や経済建設への軍の動員などが特筆大書されていることである。

 他方、最後部分では、「人民軍隊強化に最優先的な力を注がなければならない」とした上で「全民武装化、全国要塞化」など「4大軍事路線」を彷彿させる表現も用いられている(ちなみに、これらは党大会での金正恩の「報告」で用いられたもの)。

 総じて言えば、経済建設と軍事建設共にバランスを保ちつつ進めていくという姿勢をうかがうことができるのではないだろうか。