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主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2022年1月1日 中央委員会全員会議が閉幕

 

 本日の「労働新聞」は、12月27日から開催されていた党中央委員会第8期第4回第4回全員会議が31日、閉幕したことを伝えるとともに、同会議の概況を報じる長文の記事を掲載した。

 結論から先に書くと、やはりそれほど驚くべき内容の決定はなく、概ねこれまでの主張の延長線上での会議であったといえよう。

 まず、議題は、次の6項目であった。

第1議題:「2021年度主要党及び国家政策の執行状況総括と2022年度事業計画について」

第2議題:「2021年度国家予算執行状況と2022年度国家予算案について」

第3議題:「我が国社会主義農村問題の正しい解決のための当面課題について」

第4議題:「党規約の一部条項を修正することについて」

第5議題:「党中央機関メンバーの2021年度下半年度党組織思想生活状況について」

第6議題:「組織問題」

 このうち、第1議題については、金徳訓総理の「報告」及び「部門別討論」(複数、発言者不詳)の後、金正恩が結論「2022年度、党と国家の事業方向について」を行った。また、第3議題についてはし、金正恩が「我々式社会主義農村発展の偉大な新時代を開いていこう」と題する報告を行った。

 そして、これら「結論」と「報告」の「思想と精神に立脚して翌年の闘争課題と新たな農村建設綱領の実行のための事業計画を細部的に樹立する分科別研究及び協議会を3日間行った」のち、決定書草案作成小組において総合した意見を最終審議」して、「党8回大会が提示した5か年計画の2022年度課業を徹底して貫徹することについて」と「我々式社会主義農村建設の偉大な闘争綱領を徹底して貫徹することについて」と題する決定書を採択した。

 第2議題については、「国家予算審議組が検討し提起した「2021年度国家予算執行状況と2022年度国家予算案を最終審議し、最高人民会議第14期第6回会議に提出することを承認した」とされる。内容については一切言及がない。

 第4議題については、「十分な事前研究を通じて、党規約修正案が党建設と党活動を正規化、規範化する上で実践的意義を持つ認定し」、該当条項の修正を決定したとされるが、事項の具体的内容は示されていない。

 第5議題については、「資料が通報され、総括事業があった」とされるが、具体的内容は明らかにされていない。なお、これは、6月開催の前回全員会議において「上半年度総括」が行われたのに続くもの。今後、この種総括が恒例化か。

 第6議題については、別途掲載の全員会議「公告」において、朴正根(内閣副総理兼国家計画委員会委員長)を政治局委員に、李泰摂(社会安全相)を政治局候補委員に選出したほか、中央委員に21人を、同候補委員に22人を選出したことが明らかにされている。なお、このうち、李泰摂(音訳)は、韓国報道では、第5軍団長であったとのことで、社会安全相への就任が明らかになったのは初めて。これまで同職に合った張正男のその後の処遇は不明である。

 結局、同会議に関し、詳細に報じられているのは、金正恩の「結論」と「報告」である。そのうち、前者は、2021年の総括としては「厳しい難関の中で社会主義建設の全面的発展への巨大な変化の序幕を開いた偉大な勝利の年」と評価するとともに、2022年の各部門の課題を具体的に列挙している。その書きぶり概して総花的で、従前の「新年辞」と類似といえる。内容・方向性にも何ら新味はうかがえない。ただし、対南・外交部門に関しては、「堅持すべき原則的問題と一連の戦術的方向を提示」としただけで具体的な記述は避けられており、方向性をうかがうことはできない。また、2021年の経済的成果として農業、建設部門が先頭に掲げられている一方、中心課題とされた金属、化学部門への言及がないことが注目される(具体的数字などはもちろんなし)。

 一方、「報告」のほうは、かつて金日成が示した「社会主義農村テーゼ」のバージョン2といったところで、大きな柱としては、①農業勤労者の思想意識水準の向上、②農業生産力の飛躍的発展、③農村生活環境の根本的改変を掲げ、それぞれの方策、個別的課題などを詳細に論じている。なお、②の中では、甫田責任分担制など、いわば「改革的」な施策への言及は一切ない。③は、かねての地方整備構想を反映したものといえる。

 とりあえず、今日のところは、概況だけ紹介して、全般的な意義付けの検討は改めて行いたい。