rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2023年3月16日 内閣党委員会全員会議拡大会議の開催を報道

 

 本日の「労働新聞」は、党中央委員会第8期第7回全員会議決定貫徹のための内閣党委員会全員会議拡大会議が3月15日、金徳訓総理及び李英植(音訳)内閣党委員会責任秘書の指導の下で開催されたことを報じる朝鮮中央通信の記事を掲載した。同記事の骨子は、次のとおりである。

  • 主な討議議題:①新時代農村革命綱領実現の初年度内閣事業状況の総括、②第8期第7回全員会議が策定・明示した綱領的な闘争指針に立脚して内閣と国家経済機関に提示された政策課題を厳格に実行するための対策的問題
  • 「報告」(報告者不詳):「過去に党決定執行過程で発露された欠陥と教訓」「農業生産の安定的で持続的な発展土台を着室に築成するために提起される実行計画」
  • 農業関連の具体的討議事項:①肥料生産基地の生産活性化、②主要農機械工場の現代化促進、③野菜・畜産・果樹・工芸作物生産増大、④干拓地開墾と新耕地発見への全国家的取組、⑤農業科学技術発展の土台向上、⑥農村住宅建設など農村建設の推進
  • その他の討議事項:①人民経済計画遂行規律の強化(経済作戦と指揮を予見性を持って正確に展開など)、②国家財政土台・規律の強化と銀行事業の改善(緊切な問題を至急解決)、③内閣党委員会の党活動改善(思想事業の形式と方法を決定的に改善など)
  • 分科別協議会の開設:内閣と国家経済機関に提示された政策的課題の徹底した執行計画を樹立」
  • 会議結果:「党中央が提示した重要目標を必ずや占領し党決定貫徹で無条件性、徹底性、正確性に万全を期そうとの参加者の熱意の中で作成された決定書」を可決

 以上のような報道を見る限りでは、同会議での討議内容は、ほとんど党中央委全員会議の際に提起された論点をなぞっただけであり、なんらの新味も認められない(ただ、党中央委全員会議ではかなり強調された灌漑体系整備についての言及がないのが不思議)。最近の農業振興強調キャンペーンが何か新しい方針を伴うものではなく、ひたすら関係者の奮起を強調するだけのものであることを改めてうかがわせた会議と言えよう。

 強いて言えば、内閣の活動といえども、こうした党組織の手続きを経て初めて本格的に実行されるということ、それだけ党の存在が重要であるこということを示した会議であったと考えられる。

 なお、本日朝、北朝鮮がまたICBMを発射したそうだが、それについては、例によって、北朝鮮の公式報道をまって論じたい。いずれにせよ、先般来の米韓合同演習への対抗活動の一環であろう。