rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2023年1月21日 内閣全員会議拡大会議開催を報道

 

 本日の「労働新聞」は、標記会議が1月20日開催されたことを報じる朝鮮中央通信の記事を掲載した。その骨子は、次のとおりである。

  • 開催形式:「画像会議」、金徳訓内閣総理が「指導」
  • 参加・傍聴者:内閣副総理朴章根、楊昇浩をはじめとした内閣メンバーが参加。内閣直属機関、省機関、幹部と道・市・郡人民委員会委員長、農業指導機関、重要工場、企業所幹部が傍聴。
  • 討議内容:「党中央委員会第8期第6回全員会議で提示された綱領的課題を徹底して貫徹するための対策を討議」
  • 内閣総理「報告」主要点:「12個重要高地占領に力を集中し・・人民経済計画を月別、分期別に無条件遂行」、「特に農業部門において・・優良品種を確保し、科学的な栽培技術確立、灌漑体系完備、営農物資保障を確実に実現し、糧政部門の物質技術的土台を強化」、「経済的秩序をより厳格に立て(る)」
  • 「討論」主要点(討論者言及なし):「今年達成すべき人民経済指標を必ずや占領する決意を披歴」
  • 決定事項など:「内閣事業、国家の行政経済事業と関連して参加者が提起した問題に対する対策案が発表され、より具体的で科学化された実践方途が明示された該当の決定」を採択

 以上の会議状況は、概して、年初における恒例的なものと言えるが、最後の「提起された問題に対する対策案の発表」及びそれを反映した「決定」の採択というのは、異例な内容ではないだろうか。誰が質問を提起し、誰が対策案を示したのかなど具体的な内容は判然としないが、おそらく、先の最高人民会議での「討論」「意見」に対する報告者の説明・回答実施といった進行方法と軌を一にするもので、衆知集約をより実質化しようとの狙いに基づくものと思われる。

 また、内閣総理の「報告」において、農業についてのみ具体的な課題が示されていることが注目される。先に発表された本年度予算で農業部門の伸び率が相対的に高く策定されていたこととも併せて、今年度の経済部門の重点が農業部門に置かれていることをうかがわせるものといえよう。