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主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2023年4月5日 内閣全員会議拡大会議の開催を報道

 

 本日の「労働新聞」は、標記会議が4月4日、金徳訓総理の「指導」の下、「画像会議」形式で開催されたことを伝える記事を掲載した。その骨子は、次のとおりである。

  • 主な討議内容:①「1・4分期人民経済計画遂行状況が総括」、②「上半年人民経済計画遂行と今年の穀物生産目標占領のしっかりした土台を築くために提起される対策的問題が討議」
  • 報告(朴章根副総理・国家計画委委員長):①「人民経済各部門、単位において・・果敢な増産闘争を展開し計画遂行において成果を収めた」としつつ、「一部単位の欠陥と偏向を資料的に分析総括」し、「古い執務姿勢を踏襲し党決定貫徹のための事業に心血を注がない現象との闘争をより強度高く展開することについて指摘」、②「中心課題と優先順位を正しく定め、部門と単位の間の有機的な連携と協働を一層強化し、次の分期の計画遂行を徹底して保障」を強調
  • 討論(討論者不詳):「今年の闘争で託された責任と本分を尽くしていく決意を披歴」
  • その他の強調点:①「内閣の統一的指揮に絶対服従する強い規律、人民経済計画遂行に対する観点をより徹底して確立」、「経済部門指導幹部の思想観点と事業気風、執務姿勢に根本的転換をもたらす」、②「小麦、大麦畑に対する干害被害防止対策」、「干拓地建設、灌漑工事、農機械生産を日程通り津から強く推進」、③「12個重要高地占領のしっかりとした担保を準備し、整備補強事業を計画通り実質的に推進」、④「(中央省庁、地方行政機関が)営農事業にすべての力量と手段を総動員する」

 以上の報道内容の大半は、党中央委第8期第6回、第7回全員会議の決定内容をそのまま繰り返したものであり、特段の新味はない。

 ただ、そうした中で、農業部門に関してのみ具体的な課題(麦畑の干害防止)に言及があり、また、中央・地方の機関に対する「営農事業にすべての力量と手段を動員」の訴えがなされていることなどからは、現下の政策重点が何よりも農業に向けられていることが改めてうかがわれる。

 一方、随所にみられる幹部の古い思想観点、執務姿勢などへの批判は、前記全員会議での金正恩の指摘(批判)を受けてのものであろうが、具体的な制度面などでの対策を伴わない限り、結局、「姿勢」を示すという以上の意味(効果)はないように思われる。