rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2023年4月9日 評論「安定的で持続的な生産増大は何が決定するか」

 

 標記評論は、「人民経済諸部門での1・4分期計画遂行状況を見て」とのサブタイトルが付されており、同分期の計画遂行状況を反映したものとみられる。

 まず冒頭で、1・4分期の結果に関し、「12個重要高地占領のための闘争が力強く展開される中で、経済全般において多くの工場、企業所が初分期計画を完遂し、持続的な生産増大の軌道に乗せる単位が増えているとしている」と総括している。これは、換言すると、全体としてはもちろん、部門としても、計画完遂はできていないということであろう。

 その上で、主題である「安定的で持続的な生産増大」実現のカギとして、前段では、「(幹部の)思想観点と執務姿勢の改善が基本である」ことを掲げ、それに関して模範的な単位の実例を紹介している。そして、そうした実例からの教訓として、「幹部は事業の作戦家、組織者になるだけでなく、その結実に最後まで責任を負う結束者にならなければならず、そのためには必ず発展する現実に即して指導能力と執務姿勢を革新しなければならない」と訴えている。

 後段では、「技術力向上に運命を掛けなければならない」ことを掲げ、「科学技術を飛躍のカギとして持続的な生産成長を担保する発展動力として確固として把握し自体技術力を増大させようとする幹部の正しい観点と責任的な執務姿勢、熱心に学び技術技能水準を高め託された機械、託された作業において新たな革新を創造しようとの生産者大衆の進取的な熱意に支えられる」ようにすることを訴えている。

 ただし、ここでは、その障害要因として、「いまだにこのような時代的な流れに歩みを合わせることが出来ず、生産と経営活動を科学技術的要求のとおりに進行できない単位、人材力量強化のための事業に旧態依然として対応している幹部もいなくはない」と指摘し、「このような偏向が徹底して克服されなければならない」と主張している。

 そして、最後に、「自己の部門と単位の初分期計画遂行状況を堂々と総括できない幹部は、その原因をこのような角度から深刻に分析総括し、2・4分期には実際に新たな思考観点と執務姿勢により自体技術力強化に注力することで生産と整備補強事業を革命的に、革新的に導いていかなければならない」と奮起を訴えている。

 なお、同評論は、主題に関し、「どの部門、どの単位が分期計画を完遂したという事実自体も重要であるが、より貴重なことは、すべての部門、すべての単位が着実に固めている自体の土台に基づいて偏波性なく持続的な成長を成し遂げることである」と主張している。それなりに説得力のある主張といえるのではないだろうか。

 最近の北朝鮮の基本的なスローガンとして、「今年を革命的な変革の年、転換の年にしよう」という趣旨のものがあり、どういう意味での「変革」「転換」を目指しているのか疑問に思っていたが、こうした幹部の執務姿勢及び大衆的な技術力向上による安定的成長基盤の確立がまさにその目標と考えると納得がいくような気がする。