rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2023年10月23日 評論「整備補強計画遂行は絶対に先送りできない」

 

 標記評論は、本日の「労働新聞」の第1面に、「今年に5か年計画完遂の決定的担保を構築することについての党中央委員会の決定を徹底して貫徹しよう」との共通題目の下、掲載されたものである。

 評論は、前段では、まず、「党中央委員会第8期第6回全員会議(昨年末に開催)は、全般的部門と単位の生産を活性化しつつ、党大会が決定した整備補強計画を基本的に終えることを今年の経済事業の中心課題として打ち立てた」として「整備補強」推進の必要性を強調している。

 そして、そうした決定を受け、「今年に入って今までに人民経済諸部門と多くの単位においては自力更生の旗幟を高く掲げ、不利な客観的情勢を主導的に克服し、整備補強事業において進一歩をもたらしてきた」として、いくつかの成功事例をあげつつ、「しかし、国の経済を持続的に発展軌道に乗せ、社会主義建設の新たな活路を力強く切り開いていく上で自らの役割を堂々とはたしていこうとするなら、いまだ、どの部門、どの単位と言うことなく、整備補強事業で行うべきことは少なくない」として、「整備補強」の進展が不十分であることをうかがわせている。

 後段では、そうした現状に基づき、今年残された70日の期間において、「人民経済各部門と単位の幹部と労働階級は、・・党の志を心臓深く刻み、些細な自慢と足踏みもなく、生産土台の拡大強化のための闘争において、無条件性、徹底性、正確性の気風を高く発揮しなければならない」と訴え、そのための方策として、「革命の指揮成員である幹部が責任性と役割を高めること」及び「科学技術の威力で整備補強事業を確実に進捗させること」を掲げている。

 その上で、最後に、「計画された整備補強事業をどの一つの漏らすことなく徹底して遂行すること」を改めて強調し、「国家的な意義を持つ対象にだけ力量を集中したり、手間の余りかからない事業だけ片づけたりの偏向を徹底して克服し、計画された整備補強事業を十件であれ百件であれ、どの一つも漏らすことなく徹底して完璧に執行すること」を求めている。

 同評論は、北朝鮮経済が現在直面する基本課題が「整備補強」の推進であること、そして、その推移が立ち遅れていることを如実に物語るものといえよう。また、その打開策として、幹部の奮起とか科学技術の活用という、従前から繰り返してきた要求しか示すことが出来ないことからして、そうした状況の打開が困難であることもうかがわせている。

 更に言えば、まさに、評論の趣旨である、「一つも漏らすことなく」計画された目標の実現に努めるという姿勢自体が、「有限資源の効率的配分」という経済の最重要な要求を無視したものであり、問題を一層深刻にしているようにも思われる。多くの課題が未達成のまま目標期限まで70日を切ったという状況であれば、全国、地方それぞれのレベルで、緊急度、重要度の高い目標を選択し、その完成に力量を集中するというのが、合理的な対応策ではないだろうか。