rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2023年10月20日 最高人民会議常任委員会第14期第28回全員会議の開催を報道

 

 本日の「労働新聞」は、標記会議が10月19日、万寿台議事堂において崔竜海常任委員長の「司会」の下、開催されたことを報じる朝鮮中央通信の記事を掲載した。

 同会議の主な決定事項は、つぎのとおりである。

  • 道(直轄市)、市(区域)、郡人民会議代議員選挙のための中央選挙指導委員会の組織
  • 金融監督法の制定:「金融監督事業において制度と秩序を徹底して立て、金融活動を円滑に保障し、安定的で持続的な発展を確固として担保する上で提起される法的要求を規定」
  • 住宅管理法の制定:「住宅管理と利用において守るべき原則的問題(複数)を具体的に明示」
  • 中央裁判所人民参審員(複数)を召喚・任命:具体的人名は不詳

 また、別途掲載の「最高人民会議常任委員会決定第242号」で前掲中央選挙指導委員会の構成メンバーが次のとおり示されている(氏名は音訳、職責は聯合通信人名検索による推測)。

委員長:姜潤石最高人民会議常任委員会副委員長

副委員長:全敬哲党(組織指導部?)副部長

書記長:高吉善最高人民会議常任委員会書記長

委員:李哲勲(熙川市人民委員会副委員長?)以下、社会安全相、財政相や青年同盟、女性同盟、農業勤労者同盟の委員長、職業総同盟の副委員長ら10人

 以上のような決定事項の内、金融監督法の制定は、先の最高人民会議第14期第9回会議において、「金融部門法執行状況総括」が行われたことを受けての措置であろう。ただ、同「総括」が何をいかに総括したのか判然としないのと同様、同法も、具体的に何をいかに監督しようとしているのか定かでない。今後注目すべき事項である。

 また、中央選挙指導委員会の組織は、10月16日付け最高人民会議常任委員会「報道」において示された地方代議員の選挙(11月26日実施予定)の準備作業といえよう。

 新たな制度下で実施される同選挙の態様が注目されることは、既に指摘したとおりであるが(10月17日付け本ブログ)、万一、それが実質的な競争を導入した形で実施されるとするなら、何年か前に憲法を改正して金正恩最高人民会議代議員でなくなったことの理由が今になってようやく理解できる。将来、そうした「競争」的選挙が地方レベルから最高人民会議にまで拡大された場合、金正恩が「選挙戦」を戦うことになる不都合を未然に回避するためである。飛躍しすぎかもしれないが。