rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2023年10月20日 金正恩のラブロフ外相接見などを報道

 

 本日の「労働新聞」は、19日のラブロフ外相の動向(金正恩が党中央庁舎にて接見、崔善姫外相と会談、平壌出発など)を奉じる記事を多数掲載した。

 このうち、金正恩による接見では、金正恩が「朝ロ首脳会談で成し遂げられた合意を忠実に実現し、安定的で未来志向的な新時代朝ロ関係の百年大計を構築し、その威力で両国人民の福利を増進させ、強大な国家建設偉業を強力に推動していくとの我が党と共和国政府の確固不動な立場を披歴した」こと、両者の間で、「朝ロ両国が固い政治的及び戦略的信頼関係に基づき複雑多端な地域及び国際情勢に主動的に対処していき、共同の努力によりすべての方面で双務的連携を計画的に拡大していくことをはじめとした相互関心事となる重要な問題について虚心坦懐な意見が交換され、見解一致がみられた」ことなどが報じられた。

 また、外相間会談に関しては、「(朝ロの)国家間関係を新時代と現情勢の要求に即してより高い段階に高め、経済、文化、先進科学技術など各分野での双務交流と協力事業を政治外交的に積極的に推動するための実践的方向と方途を具体的に討議した」ほか、両外相間で「朝鮮半島東北アジア地域情勢をはじめとした諸地域及び国際問題において共同行動を強化することについて深度のある意見交換を行い見解一致をみた」ことを報じている。更に、会談後、両国外務省間の「2024年~2025年交流計画書」が採択されたとしている(添付写真には書類に署名する両外相の姿あり)。

 なお、韓国聯合通信によると、11月には平壌で「第10回朝ロ経済共同委員会(朝ロ政府間貿易・経済及び科学技術協調委員会)」の開催も予定されている由である。

 今後、こうした会談などの結果に基づき、個別的な交流・協力活動が実施されていくことになるのであろう。

 ただ、今次ラブロフ訪朝結果をめぐる一連の報道を見た上でも、朝ロ関係の本質については、「敵の敵は友」という原理に基づく便宜的で相互利用的なものあり、かつての冷戦時代のような「同盟」的な関係にまで進む可能性は低いとの見方は変わらない。

 とりわけ、懸念される軍事関係の協力について言えば、冷戦時代の「同盟」関係」下にあっても両国の軍事協力は、ワルシャワ条約機構のそれに比較するなら、極めて限定的なものであった。更に、ソ連軍事学校(フルンゼ大学)への留学経験を持つ軍人グループによる「反乱陰謀事件」などという出来事も存在した。同「事件」の真相は知る由もないが、今次ラブロフ訪朝でも繰り返される「未来志向的」という表現には、あるいは、そうした過去の苦い記憶にふたをしようとの思いも込められているのかもしれない(日韓、日中関係においてその言葉が使用されるのと同様に)。