2023年1月19日 最高人民会議第14期第8回会議の開催状況を報道
本日の「労働新聞」は、1月17日、18日の両日にわたって開催された標記会議に関する各種の記事を掲載した。
同会議の内容は、金正恩の出席もなく、予定されていた議題を消化するに終わり、概ね想定の範囲内であったといえる。
改めて議題を整理すると、次のとおりである。
第1議題:朝鮮民主主義人民共和国内閣の主体111(2022)年事業状況と主体112(2023)年課題について(金徳訓報告)
第2議題:朝鮮民主主義人民共和国主体111(2022)年国家予算執行の決算と主体112(2023)年国家予算について(高正範財政相報告)
第3議題:朝鮮民主主義人民共和国平壌文化語保護法を採択することについて(康潤石常任委副委員長報告)
第4議題:朝鮮民主主義人民共和国中央検察所の主体111(2022)年事業状況について(禹相哲中央検察所長報告)
第5議題:組織問題(最高人民会議常任委員会副委員長・委員、法制委員会委員長・委員を選出)
会議の進行状況を見ると、まず崔竜海常任委員長が「開会辞」を行った後、空席であった最高人民会議議長(朴仁哲職業総同盟委員長)、副議長(猛敬日祖国統一民主主義戦線書記局長)を選出の上、上記議題を決定した。
そして、第1議題、第2議題に関し、総理と財政相の「報告」に続けて、両議題に関する「討論」(10人、内容後述)をまとめて行ったほか、「多くの代議員が国家の行政経済事業と関連した建議書を提出」した後、総理が改めて「提起された問題とその解決のための国家的な経済実務的対策について説明」し、その上で、決定『朝鮮民主主義人民共和国内閣の事業報告と主体111(2022)年国家予算執行の決算を承認することについて」と法令「朝鮮民主主義人民共和国」主体112(2023)年国家予算について」の二つを採択したという。前者は、「決定」、後者は、「法令」という形になるため分けたのであろう。
次に第3議題について、「報告」で平壌文化語保護法の趣旨に加え「法草案を具体的に解説」したのに続き、「法草案に対する研究及び協議会」を実施した後、同法の採択を決定した。
第4議題については、「報告」に続けて、代議員(複数)が「国家事業全般に革命的遵法気風を確立するための法的監視と統制の度数を高める上で提起される実践的問題と中央検察所の事業に対する意見を提起」したのを受けて、禹所長が改めて「提起された意見に対する対策案を発表」した後、決定「朝鮮民主主義人民共和国中央検察所の事業報告を承認することについて」が採択された。
その後、第5議題として、前掲の人事が採択された後、朴仁哲議長が「閉会辞」を行い終幕した。
進行状況に関し特徴的なことは、昨年末の中央委員会全員会議のときと同様、審議過程が入念化し、決定内容により幅広い意見を反映させた形がとられていることである。特に、内閣総理や中央検察所長が提起された「討論」、「意見」に対し改めて回答する形になっていることは、いわば「説明責任」を果たすものともいえる。これらがどの程度、実質的なものなのか、あるいは「演出」にとどまるのかは定かでないが、最近の顕著な傾向であることは間違いないであろう。
内閣総理の報告や国家予算の内容についての詳細な検討は、後日にしたいが、ここでは、それらの関する10人の「討論」のテーマを整理しておきたい。自ずと政策の重点をうかがうことができよう。