rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2022年6月23日 中央軍事委員会拡大会議2日目状況

 

 本日の「労働新聞」は、標記会議2日目(22日)の状況に関し、金正恩が「会議を指導」したとした上で、討議事項等を次のとおり報じた。

 討議事項:①「党の軍事戦略的企図に沿って、朝鮮人民軍前線部隊の作戦任務を追加確定し作戦計画を修正する事業」、②「重要軍事組織編制改編と関連した問題」

 総参謀部による研究討議・文書作成:中央軍事委副委員長(複数)の指導の下、「該当問題に対する研究討議を実施し、その結果を総合する重要文献を作成する事業」を実施。中央軍事委に「重要問題研究討議結果と文献作成状況を報告」

 金正恩発言:「前線部隊の作戦能力を高めるための重要軍事的対策を講じている党中央の戦略的見解と決心を披歴」、「この事業の重要性を強調しつつ、その実行で提起される諸般原則と課題と方途を闡明」

 部門別課題:「党の革命的軍事路線と戦略的方針を徹底して貫徹するための部門別課題を再画定」

 以上の報道を総合すると、これまでのところ最大のテーマは、「前線部隊への作戦任務追加」であろう。金正恩の発言は、それに関するものであり、総参謀部が行っているとされる作業も、その具体化のためのものと推測される。

 そして、それとは別に、「軍事組織編制」に関する何らかの改変措置及び各部門の任務・機能などの調整などが講じられたのであろう。

 ここで焦点は、前線部隊に追加された任務とは何かということで、当然、「戦術核戦力」の行使が連想される。その理由は、去る4月17日に報道された「新型戦術誘導武器」の試験発射(金正恩参観)に際し、同兵器に関して「前線長距離砲兵部隊の火力打撃力を飛躍的に向上させ、朝鮮民主主義人民共和国戦術核運用の効果性と火力任務多角化を強化する上で大きな意義を有する」ことが明らかにされていたからである。

 「討議事業は引き続き進行されている」とのことであるので、具体的な結論提示は、明日以降を待つことになる。

 なお、2日目の会議状況を示す写真では、金正恩の左隣(向かって右隣)には終始、李炳哲(党秘書・軍需担当)が座っており、昨日のブログで推測したとおり、軍事実務的な議事に際しては、趙勇元は出席していないようである。