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主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2023年2月7日 党中央軍事委員会第8期第4回拡大会議の開催を報道

 

 本日の「労働新聞」は、標記会議が2月6日、金正恩の「指導」の下で開催されたことを報じる記事を掲載した。その骨子は、次のとおりである。

  • 参加者:李炳哲、李英吉軍事委員会副委員長及び委員。「軍種司令官と軍団及び主要部隊指揮官、国防省とその他武力機関の指揮官、国防科学研究部門指導幹部と軍需工業部をはじめとした党中央委員会該当部署幹部」が傍聴
  • 基本議題:「2023年度主要軍事政治課題と軍建設方向に対する展望的問題」
  • 討議内容:①「軍事事業を根本的に改善強化するための機構編制的な対策」、②「作戦戦闘訓練を不断に拡大強化し、戦争準備態勢をより厳格に完備」、③「軍隊内務規定の一部条項を新たに改定」など「一連の実務的課題が研究討議され、該当の決定(複数)が採択」
  • 金正恩発言:「我が党の膨大な闘争課題を無敵の軍事力でしっかりと支持し、力強く開拓していく上で百勝の偉勲を轟かせていくであろうとの期待と確信を表明」

 党中央軍事委員会の開催は、昨年6月21日から23日の3日間にわたる第3回拡大会議以来のことである。同会議では、期間中に総参謀部の研究討議・文書作成作業をはさむなどして前線部隊への戦術核兵器配備態勢を策定するなど、それなりに意味のある具体的な討議内容が示された(対外的な誇示の狙いも含まれていたであろうが)。

 それに比較すると、今次会議は、年頭に際して、今年の主な課題・方向性を確認すると同時に、機構編制の改編や規定の改正などいくつかの「実務的課題」を採択するという、いわば形式的色彩が濃かったように思われる。

 報じられた金正恩発言の趣旨も、要するに、軍隊の経済建設活動への貢献への期待を示したものと解釈できる。少なくとも、「戦争準備」の完成などを督励するものとは受け止めにくい。そういう意味で、討議内容の②は、実際は、訓練規定の一部改訂を威勢よく表現したに過ぎないとみるのが妥当であろう。

 なお、同会議の開催期日について、記事では、「金日成同志が『一当百』スローガンを提示された60周年になる歴史的な日」に開催したと説明しているが、明日にも実施される軍事パレードのため全国の主要指揮官が平壌に参集した時期に合わせたという側面もあるのであろう。いずれにせよ、パレードが楽しみである。