rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2023年2月8日 金正恩の軍創建記念宴会出席等を報道

 

 本日の「労働新聞」は、2月7日、金正恩が「尊敬するお子様」とともに「人民軍将領の宿所を祝賀訪問」し、軍創建75周年記念宴会に出席、演説を行ったことを報じるとともに、別途記事にて同演説の内容を詳細に紹介した。

 同宴会には、「国防省指揮官たちと朝鮮人民軍大連合部隊、連合部隊軍政指揮官たちをはじめとする将領たちが招待された」ほか、金徳訓、趙勇元、李炳哲をはじめとした「党と政府の幹部たち」が「席を共にした」とされる。なお、写真では、李雪柱夫人も同行していることが分かる。

 金正恩の演説は、報じられた限りでは(全文掲載ではなく、一部は骨子紹介の形)、基本的に創建以来の軍の党・国家に対する絶対的な忠誠・献身及びそうした伝統の揺るぎない継承を強調・称賛する内容に終始しており、対米・対韓関係などへの直接的言及はなかった。さわりに部分だけ、以下に紹介する。

伝統継承関連

  • 「尊厳と名誉も強者にだけあり、革命偉業の正当性も勝ってこそ証明され、自衛があってこそ自主も自立もあるとの真理」
  • 「今日、我々が何よりも貴重なものとみなし堂々と自負するのは、革命的党軍のバトン、忠誠の歴史と伝統が連綿と継承されていること」
  • 「75年歴史の最大の栄光は歳月の流れにも歴史の風波の中でも力強く粘り強く続く偉大な継承にあります」

軍、参加者への期待

  • 「祖国保衛も社会主義建設も我々がみな担おう、党が決心すれば我々は行うというスローガンをより高く掲げて試練に立ち向かい前進しなければならない」
  • 「我々の軍人大衆のため滅私服務する指揮官になってくれることをお願いします。我々の人民軍将兵を同志たち(宴会参加者)にお願いします」
  • 「人民軍隊が傾けた努力の対価だけ人民の福利が増進され(る)」

 要するに、今回の行事は、「偉大な領将と無敵強軍の核心骨幹の血縁的紐帯を伝える感動深い画幅」を演出しつつ、軍に対して変わらぬ忠誠と建設活動への貢献を求めるものであったと考えられる。

 なお、夫人が同行したにもかかわらず、娘の同行だけが、しかも、「尊敬する」との称号で報じられたことの意味は、「後継者」の可能性も含めて、慎重に検討する必要があろう。パレードにも同行するのだろうか。