rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2023年7月29日 金正恩、中国党・政府代表団と接見、宴会開催

 

 本日の「労働新聞」は、金正恩が28日、訪朝中の中国党・政府代表団を接見するとともに宴会を催したことを報じる記事を掲載した。

 接見については、同席者なし(通訳のみ)で金正恩が一人で対応した模様で、「我々の革命戦争を血によって助けてくれ、我が党と人民の正義の偉業を変わりなく支持声援してくれている中国共産党中華人民共和国政府、すべての中国人民に衷心からの感謝」を示すとともに、「中国人民志願軍将兵の戦闘的偉勲と歴史的功勲を我が人民は永遠に記憶し称揚する」などと述べたとされる。

 その結果、「朝中両国が社会主義建設を力強く推進しつつ緊密な戦略戦術的協同を通じて複雑多端な国際情勢に主導的に対処して行き、親善と同志的協調を新たな高い段階へと絶え間なく昇華発展させていこうとする両党、両国政府の立場が再確認された」としている。

 また、金正恩は、同代表団を「宴会に招待」した。同席には、趙勇元秘書、崔竜海委員長、李日換秘書、呉守容秘書、崔善姫外相、金成男党部長、金予正副部長が同席し、金予正副部長が演説を行ったという。

 こうした一連の対応は、遅ればせながら、前日(27日)のロシア代表団に対する厚遇とのバランスを回復する意味があったとも言えるが、シェイグ国防相は執務室に招き入れられたこと、宴会での金予正の演説内容及び中国側の演説有無などがまったく報じられていないこと、接見と宴会が1件の記事にまとめられていることなどからすると、やはりロシア代表団とへの接遇に比すると一段格落ちの感は否めない。

 両国関係についての表現でも、人民志願軍に対する感謝という過去の出来事はさておき、今日的文脈においては、ロシアとの関係で示されたような反米闘争に関する直接的言及がなく、一般的な親善・協調にとどまっていると言わざるを得ない。

 総じて言うと、今回の両国代表団に対する接遇は、中国はかつての「戦友」、ロシアは現在の「戦友」という位置づけが反映されたのではないだろうか。

 なお、宴会への金予正の出席及び同人による演説というのは、対中関係の文脈よりは、閲兵式への娘の不参加と関係があるのかないのか分からないが、国内政治的文脈で興味深い。いずれにせよ、中国側は驚いたのではないだろうか。