rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2023年8月1日 社説「戦勝70周年を契機により充満した忠誠と愛国の偉大な力で新たな奇跡と勝利を成し遂げていこう」

 

 標記社説の表題は、北朝鮮が「戦勝70周年」を契機に盛大に展開した様々な行事・活動(その中には、もちろん軍事パレードも含まれる)を通じて、訴えたかったことを端的に示すものと考えられる。

 その趣旨は、冒頭部分の次の一節でも、つぎのとおり敷衍されている。

 「祖国解放戦争勝利70周年を迎えて盛大に行われた慶祝行事(複数)は、億万の金にも代えられない戦略的資産であるすべての人民の忠誠と愛国の偉大な力があるが故に我が国家の前進は止まることなくより加速化され、我々の国号と国旗は自主と正義、社会主義勝利の象徴として限りなく輝くことになるとの真理を改めて立証した。

 忠誠と愛国、まさにここに百勝で刻まれた我々の革命、我が祖国の栄えある歴史があり、社会主義偉業の燦爛たる未来がある」

 そして、「忠誠と愛国」の意味については、「すべての人民が(金正恩の)一つの思想と意志、徳と情で固く結ばれており(=忠誠)、祖国の富強繁栄に貢献するため心と体をすべて捧げて働いていくこと(=愛国)」との表現が説明している。

 社説は、その上で、「すべての幹部と党員と勤労者は党につき従う道では、喜びも栄光、試練も栄光であるとの透徹した信念、我が祖国に対する火のような愛を帯びて難関も犠牲も厭うことなく、社会主義建設の新たな高潮期、激変期を切り開いていくため荘厳な進軍に総邁進しなければならない」と訴えている。

 なお、昨日(7月31日)付け「労働新聞」に第1面を費やして掲載された評論「偉大な勝利の象徴」も、「戦勝70周年」関連活動を総括したものであったが、特に、金正恩に対する忠誠に焦点を当て、「敬愛する総秘書同志を勝利の象徴として信じ従う我が人民の絶対的信頼は、祖国と民族の尊厳死守においてののみならず、国難を克服し社会主義強国、人民の楽園を打ち立てる闘争において誰もが心臓に深く刻んだものである」、「祖国と人民を百戦百勝の一路へと導かれる敬愛する総秘書同志を永遠に衷心で高く奉じる主体偉業の一路へと力強く前進すること、まさにここに社会主義強国建設のすべての領域において日々より多くの勝利、より大きな勝利を収めていく根本秘訣がある」などと主張していた。

 これらの論稿の趣旨は、金正恩を信じ、その指示に従って、祖国のために己を捧げて奮闘せよという訴えに集約できよう。これは、決して目新しいものではなく、結局、「戦勝70周年」もまた、それを主張するための格好の契機として最大限活用されたということを改めて確認させるものといえよう。