rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2023年7月27日 金正恩自らロシア代表団を接遇

 

 本日の「労働新聞」は、25日到着したロシア連邦軍事代表団に対し、26日、金正恩が自ら接見したほか、「武装装備展示会場」を案内したことなどを報じている。

 まず、党中央庁舎における接見に関する記事は、金正恩とシェイグ国防相との談話において「根深い朝ロ親善の歴史を感慨深く追憶しつつ、相互関心事となる国際問題と地域及び国際安保環境に対する評価と意見を交換し、見解一致を見た」とし、それが「新世紀の要求に即して戦略的で戦闘的な朝ロ関係をより一層発展させ、急変する地域及び国際安保環境に対処して国防安全分野において両国間の戦略戦術的協同と協調を一層深化発展させていく上での重要な契機となる」と位置付けている。

 また、「武装展示会場」の案内については、強国防相のほか、趙勇元秘書、崔竜海委員長、李炳哲軍事委副委員長、「「国防省指揮官と朝鮮人民軍軍種司令官、大連合部隊長」らも同行し、金正恩が「第8回党大会が提示した国防発展計画に沿って研究開発生産され最新時期に朝鮮人民軍が装備している武器戦闘技術機材について紹介され、世界的な武装装備発展趨勢と発展戦略について話を交わされた」ほか、「帝国主義者の強権と専横に立ち向かい両国の自主権と発展利益を守護し国際的正義と平和を実現するための闘争において相互関心事となる問題(複数)について見解を披歴された」という。

 ロシア代表団については、このほか、26日に強国防相との会談(鄭慶沢総政治局長も同席)、歓迎宴会(強国防相ら出席)が行われたことを報じる記事も掲載されている。

 更に、本日の「労働新聞」は、27日午前零時に開演した「祖国解放戦争勝利70周年慶祝大公演」に金正恩が出席し、ここに中国党・政府代表団(後述)及びロシア代表団が招かれたことも報じている。

 一方、中国党・政府代表団(団長:李鴻忠党政治局委員・全国人民代表大会常務委員会副委員長)については、26日の到着(出迎えの最高位は外務次官)に加えて、同日、崔竜海最高人民会議常任委員会委員長との会見、同人主催による歓迎宴会の実施が伝えられている。同代表団と金正恩との接見は、前述の「慶祝大公演」会場において、立ったままで行われた模様で、習近平主席からの親書伝達も、この際行われたとされる。

 中国代表団の接遇に関しては、上述の様々な場で中国人民志願軍の功績への言及などがなされたものの、ロシア代表団に対する破格ともいうべき厚遇ぶりと比較すると、「欠礼」とはいえないものの、やや見劣りする印象が拭えない。団長の格が政治局委員とは言え、北朝鮮が期待するレベルではなかったためなのか、あるいは、それ以上に両国間に何らか意見・立場の違いなどが存在するためなのかは判然としない。少なくとも、同代表団をめぐるやり取りを見ると、ロシア代表団との間で示されたような帝国主義に反対する「戦闘的」な連帯表明は希薄な印象がある。