rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2023年9月18日 金正恩がロシア訪問を終了、帰国の途に就いたことを報道

 

 本日の「労働新聞」は、金正恩が9月17日、ウラジオストク市内の各所を参観してロシア訪問日程を終え、歓送を受けて帰国の途に就いたことを報じる記事を掲載した。一連の行動の概況は、次のとおりである。

  • 主な随行者:崔善姫外相、李炳哲党中央軍事委副委員長、朴正天党軍政指導部長、強純男国防相、呉守容党秘書(経済担当)、朴泰城党秘書(科学教育担当)
  • 遠東(極東)連邦総合大学視察:「(同大学)総長から大学の規模と教育体系、今後の発展計画とその展望について総合的な解説を聴取」、「朝ロ科学技術分野での協調に重要な役割を果たすものとの期待を表明」、「沿海州展示館と工業貿易省展示館を参観」、同校在学中の北朝鮮留学生と面談・記念写真撮影
  • 沿海州水族館参観:同水族館は、「海洋生物に対する保護増殖と教育に貢献している科学教育総合体」、「水族館の各所を見て回られた」
  • 歓迎宴会出席:ロシア自然資源生態学相と沿海州行政長官が主宰、朴泰城秘書答礼辞「強大な国を建設し、その威力で人類の自主的で平和的な発展に積極的に寄与しようとのロシア人民と政府の努力が立派な結実を得ることを望む」
  • アルニカ生物飼料合成工場参観:「工場についての総合解説を聴取され、諸生産工程を見て回られた後、会社幹部と温かい談話を交わされた」
  • 歓送儀式:アルチュム・プリモルスキ1駅にて実施。ロシア自然資源生態学相、沿海州行政長官らが見送り。ロシア陸海空軍名誉儀じょう隊を査閲。専用列車で出発
  • 今次訪ロの意義:「(今次)公式親善訪問は、同志的友誼と戦闘的団結に根差している伝統的な朝ロ善隣協調の紐帯をより固くし、関係発展の新たな章を開く契機」

 金正恩ウラジオストクでの2日目動向からは、今後のロシアからの科学技術獲得の拠点として、留学生も派遣している極東大学の活用を期待していること、自然保護分野への関心の高さなどがうかがわれる。なお、後者については、入国から出国に至るまで今次訪ロの案内役を自然資源生態学相が務めたこととも符合する。

 これで去る12日のハサン到着以来、5泊6日に及ぶロシア訪問が終了したことになる。「労働新聞」は、その意義についてとりあえず前掲のように表現しているが、帰国後、更に、より詳細・具体的な評価が示されるであろう。今後の朝ロ関係については、それを見た上で論じたい。