rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2023年2月9日 朝鮮人民軍創建75周年慶祝閲兵式の実施を報道

 

 本日の「労働新聞」は、標記閲兵式が2月8日、金日成広場で挙行されたことを報じる記事を100枚以上の写真とともに掲載している。同閲兵式をめぐる注目点は、次のとおりである。

 第1:何よりも、金正恩が娘を連れて行ったこと。しかも、その報道上の扱いが「記念宴会」出席のとき以上に丁重であったこと(「金正恩同志が愛するお子様と李雪柱女史とともに広場に到着された」、主席檀の状況として、「(趙勇元をはじめとする党秘書らが)尊敬するお子様を奉じて(モシゴ)、貴賓席に着いた」など)。

 第2:李炳哲元帥が行進に先立ち閲兵部隊を点検し、金正恩に準備ができたことを報告したこと(同人は、中央軍事委員会副委員長だが、主に軍需部門を担当し、軍部隊運用は同じく副委員長の李永吉が担当する形で業務を分掌、と勝手に思い込んでいたが、こうした活動からすると、必ずしもそうとは言えない印象)

 第3:閲兵部隊の先頭に抗日闘争時、祖国解放(朝鮮)戦争の諸部隊を擬した隊列を編成し(これは従前にも例あり)、それぞれに参加していた烈士多数の肖像を掲示したこと(首領に忠誠を尽くした英雄として称賛)

 第4:行進の最後(大陸間弾道ミサイル縦隊)に固形燃料型の新型ミサイル積載と思われる大型発射車両(TEL)を登場させたこと(ただし、ミサイル本体は、容器に覆われているので正確な形状などは不詳。もちろん性能も不明。なお、同縦隊については、「共和国武力の変革的な発展相と我が国家の最大の核攻撃能力を誇示」するものと表現)

 第5:式典を通じ、金正恩はじめ、誰も演説を行わなかったこと(7日の記念宴会で言うべきことは言ったということか)

 その他の状況は、概ね、従前の閲兵式の例を踏襲した形で実施されたといえよう。出現兵器等も、韓国報道によると、前述の「新型ICBM」(らしきもの)以外は、特段、目新しいものはなかった由である。ただ、「専門兵」として「191指揮情報旅団縦隊」というのが出てきた。これは、前にもあったのか記憶が定かでないが、いずれにせよ、「情報戦」状況下での戦闘に備えたものとして注目される(実力のほどは何とも言えないが)。