rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2022年9月11日 最高人民会議第14期第7回会議2日目の開催概況

 

 非常に遅ればせながらではあるが、9月9日付け「労働新聞」が報じた、9月8日の標記会議開催状況の概要を整理しておきたい。

 同記事は、それに関し、①金正恩の施政演説、②第3議題「朝鮮民主主義人民共和国核武力政策について」の審議・採択、③第4議題「組織問題」の審議・採択、④「閉会辞」(崔竜海常任委員長)の順で報じている。

 しかし、①の施政演説は、その冒頭部分で「国家核武力政策と関連した法令を採択したことは国家防衛手段としての戦争抑制力を法的に持つに至ったことを内外に宣布した特記すべき事変となります」「(同法令を)満場一致で採択してくれたことについて、有難く思います」などと述べ、②の「法令」採択を評価・称賛していることから、実際の順序としては、その後に行われたものと考えられる。いずれにせよ、その骨子は、昨日(10日)の本ブログで紹介したので、ここでは繰り返さない。

 次に、②については、採択された「法令」の骨子については、9日の本ブログで紹介したとおりであるが、審議の過程は、次のとおりとされる。

 まず、朴正天(党秘書)が「報告」を行い、「核武力政策に関する法令が我が共和国の核保有国家(としての)地位をより強固にし、核武力政策の透明性と一貫性、規範性を保障する強力な法的担保となるであろうと強調」しつつ、「法令草案について条項別に解説した」。

 次に、これを受ける形で、「党中央委員会を代表」して李炳哲党秘書が、「内閣を代表」して金徳訓総理が、「朝鮮人民軍を代表」して鄭慶沢軍総政治局長が、「青年学生を代表」して文哲青年同盟委員長が、それぞれ「討論」を行い、「強力な核武力の上に社会主義建設もあり、人民の幸福な生も、子供たちの明るい未来もあるというのが我々の確固不動の立場である」などとして、「核武力政策を国法として固着させることについて全幅的に支持賛同」し、「代議員は、・・・法令を全員一致で可決した」とされる。

 法案採択に関して、このように各界を代表するトップが「討論」を行うのは異例であり、それだけ同「法令」制定に重大な意義を付与するとともに、それが国家・国内各層(特に青年層も含めた)の総意を集約したものであることをアピールする狙いの反映といえよう。

 ③の「組織問題」については、いずれも最高人民会議の内部機構の人事に関するもので、次のとおり報じられた。

常任委員会委員から金英哲を解任し、李先権を補選(両人は6月の中央委全員会議で統一戦線部長から解任・補選)

〇法制委員会委員長に朴秀逸(6月前記会議で社会安全相に就任)、同委員に車明男(昨年9月最高人民会議で中央裁判所所長に就任)、呉守容(6月前記会議で党秘書解任)を補選

予算委員会委員長に全現哲(6月前記会議で党秘書に就任)を、同委員に金潤実(平壌柳原靴工場支配人?)、黄萬福(江原道金剛郡人民委員会委員長?)を補選

 大半が既に実施ずみの人事異動結果を反映したものであるが、金潤実、黄萬福(いずれも音訳)については、実務幹部の可能性があり、そうであれば、現場ないし人民生活重視を象徴する人事といえる。