rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2023年1月20日 最高人民会議開催状況(続報):「内閣事業報告」(金徳訓総理)の骨子

 

ア 22年度の成果について

  • 総括:「人民経済重要部門において・・現行生産を活性化しつつ整備補強事業に力を注ぎ年間人民経済計画を完遂し、経済発展の貴重な基礎を準備」
  • 部門別主要成果:化学工業部門(炭酸ソーダ生産工程建設)、電力工業部門(電力生産計画遂行)、鉄道運輸部門(貨物輸送計画遂行)、機械工業部門(金星トラクター工場改修)、農業部門(田植えを適期に保障、浸水被害減少)、建設部門(平壌市住宅建設推進、蓮浦温室農場完成、農村住宅建設)、「人民生活向上において実際的な前進が成し遂げられた」
  • 育児政策:児童への乳製品などの支給、小学生から大学生までへの制服支給を実施
  • 科学技術振興:「重要科学研究対象課題をはじめとする国家科学技術発展計画を遂行」
  • 経済管理:「非常設経済発展委員会を正常的に運営し国家経済全般に対する内閣の統一的管理を実現するための事業体系を立て、経済事業に関連した各種手続きを簡素化」
  • コロナ防疫:悪性伝染病の発生に対処、「世界保健史の特記すべき防疫大勝を収めた」
  • 欠陥:「内閣をはじめとする経済部門幹部が・・不屈の精神を帯びて奮い立たなけれな、国の経済発展に責任を負った使命と任務をいつになっても全うできないとの深刻な教訓を得た」

イ 23年度の課題、目標について

  • 基本目標:「全般的部門と単位の生産を活性化しつつ、党大会が決定した整備補強計画を基本的に終えることを中心課題」とし、「(党中央委全員会議で決定した)人民経済各部門で達成すべき経済指標と12個重要高地を必ずや占領」
  • 部門別主要課題:金属工業(金属工場の稼働正常化、鉄鉱山、製鉄所、製鋼所の整備補強を基本的に完成)、化学工業(化学工場の生産正常化、炭素1化学工程などの工事推進)、電力工業(発電設備の保守と効率向上、生産能力と発送電能力の拡大)、石炭工業(必要設備の供給強化により、石炭生産を決定的に増加)、採掘工業(生産土台の整備補強、生産増大)、機械工業(機械工場の現代化推進)、交通運輸(貨物輸送計画遂行)、林業(丸太生産計画と山林造成計画遂行)、建設建材(平壌市及び農村の住宅建設などの推進、セメント生産能力を新規造成)、農業(新品種の種子生産増加、新栽培方法・技術導入、灌漑施設新設)、畜産(肉、卵などの増産、その他工芸作物生産強化)、軽工業(地方工業部門での消費品生産増加、国産化比率向上、生産工程の整備補強)、育児政策(乳製品等栄養食品の正常供給)、水産(漁船・漁具の現代化、修理整備、養魚養殖)、商業奉仕(各種の実質的対策により人民の福利増進)、国土管理・都市経営(生態環境改善、住宅・公共建物・生活用水保障)
  • 社会分野:社会主義文化建設、科学技術水準向上、教育・医療充実など
  • 経済管理:「現実的要求と科学的理知に即した最良化、最適化した経済管理方法を導出し不断に完成させ、国の経済を安定的に、持続的に発展させる」
  • 危機管理:保健危機、自然災害危機克服のための国家危機対応能力を完成

ウ コメント

 全体的に新味なく、特に23年度課題についての言及が具体性に欠けており、とおり一遍の表現にとどまった印象。

 敢えて注目点を挙げると、昨年の成果として、「人民経済重要部門において・・年間人民経済計画を完遂」と言っていること(本当だろうか)、経済管理に関して「非常設経済発展委員会」の名前をあげたこと(どんな機構?)などである。