rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2022年4月20日 評論「5か年計画遂行の優先的課題」

 

 標記評論は、「党第8回大会で提示された課題を再認識、再学習しよう」のサブタイトルを付してこのところ続けて掲載されている評論シリーズの一つとして掲載されたものである。

 冒頭に、「我々の技術、我々の資源に依拠して金属、化学工業をはじめとした基幹工業部門を発展させ、鉄道運輸を押し立て、すべての経済部門が活気を帯びて円滑に前進するようにしなければなりません」との金正恩の言葉を掲げた上で、「基幹工業部門は人民経済の基本命脈をなす」として、その重要性を訴えている。

 そこに属する部門として「金属、化学、電力、石炭、機械工業など」をあげ、「基幹工業の発展に優先的な力を注ぐことは、人民経済全般を活性化させるための必須的要求である」と主張し、その例として、電力生産がすべての生産活動の基礎となることなどを指摘する。

 また、「基幹工業の発展に優先的な力を注ぐことは、人民の食衣住問題解決において画期的な前進を成し遂げるためにも切迫している」とも主張している。

 更に、その中でも優先される産業部門については、「今日、我が党は、基幹工業部門においても金属、化学工業部門が決定的に先行することを望んでいる」として、金属、化学部門の重要性を強調している。

 以上のような本評論の主張は、まさに8党大会において金正恩が自ら提唱し、策定された政策にほかならないが、最近の実際の経済政策を見ると、これも金正恩の肝いりで住宅建設や農業部門など人民生活に直結する部門が殊更強調され、金属、化学部門をはじめとする「基幹工業部門」は、相対的に後回しにされている印象がいなめない。

 そういう中で、あえてこうした主張が繰り返されることの意味は何なのか、特段の意味はないのか、あるいは基幹工業部門の密かな「不満」を裏面に秘めてのものなのか、関心がもたれる。