rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2021年8月4日 7月経済計画遂行状況を報道

 

 本日の「労働新聞」は、標記に関し、「党中央委員会第8期第2回、第3回全員会議決定貫徹に総邁進 人民経済諸部門と単位で7月人民経済計画完遂」と題する記事を掲載した。

 同記事は、冒頭では、「人民経済諸部門の幹部と労働階級が党第8回大会と党中央委員会第2回、第3回全員会議決定を高く奉じ、増産闘争、創造闘争を果敢に展開し7月人民経済計画を完遂した」としている。

 しかし、以下の部門別の記述を見ると、部門全体として「7月人民経済計画完遂」が明記されているのは、機械工業部門だけである。

 その他の部門について見ると、まず金属工業部門に関しては、部門として言及さえなく、最初から千里馬製鋼連合企業所、黄海製鉄連合企業所と清津製鋼所、茂山鉱山連合企業所と殷律鉱山などの個別企業名を挙げて、それぞれの懸命の取り組みを紹介しているものの、計画を「完遂」とか「遂行」といった表現は用いていない。

 次の「化学工業部門の諸工場、企業所の幹部と労働階級」についても、「生産突撃戦を猛烈に展開した」などの表現に終始している。こうした書きぶりは、それに続く石炭工業部門、電力工業部門、鉄道運輸部門、軽工業部についても同様である。

 本ブログで紹介してきたとおり、「労働新聞」は、5月分までの計画遂行状況については、翌月月初に各部門の実績をとりまとめて紹介してきたところ、7月初には、上半期の実績に関する格別のとりまとめ報道がなく、不振を示唆していた。

 それを踏まえて7月分についての前述のような報道ぶりを見ると、同月の生産実績が機械工業部門を除き計画された目標に未達であったことだけでなく、6月以降、経済が全般的に不振に転じていることがうかがえる。

 そうした観測が正しいとするなら、6月15日から党中央委員会第8期第3回全員会議を開催し、今年度経済計画の達成に向けた取り組み対策を改めて協議・決定したことを考えると実に皮肉な状況ということになる。