rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2022年4月21日 内閣全員会議拡大会議を開催

 

 本日の「労働新聞」は、標記会議が4月20日、画像会議の方式で開催されたことを伝える記事を掲載している。その骨子は、次のとおりである。

  • 参加者等:金徳訓総理が「会議を指導」、朴正根、全現哲副総理をはじめとした内閣メンバーが参加、内閣直属機関、省機関の幹部、道・市・郡人民員会委員長と農業指導機関、重要工場・企業所の幹部が傍聴
  • 主要議題:「(本年)1・4分期人民経済計画遂行状況が総括され、上半年人民経済計画遂行のための対策が討議された」
  • 「報告」(朴正根副総理・国家計画委員会委員長):「(1・4分期に)計画遂行に対する観点をより確固として立て、徹底して遂行するために注力し、・・計画遂行において成果を収めた」「発露された一部単位の欠陥と偏向を資料的に分析総括し・・現れた形式主義、保身主義をはじめとした誤った現象との闘争をより強く展開することについて指摘」「次の分期の計画遂行を徹底して担保することについて強調」
  • 「討論」(参加者不詳):「分期間に得た経験と教訓に具体的に言及しつつ・・我々式社会主義の全面的発展へと力強く進む新たな勝利の年として輝かせるための闘争において託された責任と本分を尽くしていく決意を披歴」

 同会議に関する以上のような報道内容から推測すると、1・4分期の人民経済計画の遂行状況は、必ずしも芳しいものではなかったように思われる。「報告」における計画遂行のために「注力」し「成果を収めた」という表現は、頑張ってそれなりの結果を出したという意味であって、「計画を遂行できた」ことを意味するものとは考えにくいからである。特定の部門にせよ、本当に計画を完遂できたのであれば、それをより端的に示す表現を用いたであろう。また、「保身主義、形式主義」との表現からは、与えられた課題(計画目標)について、何らかの手抜きとかで実効性を伴わない、極めて表面的な形で「遂行」したと報告するような対応を指しているのではないかと考えられる。各単位がそうした対応をとれば、個別的には「計画遂行」となっても、経済全般としては、所期の成果を収めることができなかったのではないだろうか。

 そうした推測は、本日の「労働新聞」に掲載された「経済部門で計画規律を一層徹底して確立しよう」と題する評論からもうかがうことができる。同評論は、「党の志のとおり人民経済の全般的、持続的発展を力強く促進すべき現時点において、計画規律を強化することは、より重要な意義を持つ」とした上で、「しかし、1・4分期間の計画遂行において当然の成果を収められない偏向もある。一部単位では生産工程の正常運営を保障できず、関連単位と結んだ供給契約を徹底して守ることができなかった」との事実を指摘し、「計画規律を徹底して立てるために不断に思索し、実践する」ことや「生産総括の幅を広げる」ことなどを求めている。

 更に言うと(だし遅れの証文のようであるが)、4月のはじめに通例ではあってしかるべき「1・4分期の経済計画遂行状況」に関する経済部門別のとりまとめ報道もなかった。

 こうした経済分野の尻を叩く上でも、軍事部門での華々しい開発成果の誇示に意味があるのであろう。