rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2021年6月24日 評論「敬愛する総秘書同志が示された勝利の進軍路にしたがって勇気百倍、信念高く前へ!」

 

 標記は、本日の「労働新聞」トップに掲載された長文の評論であるが、通常の評論とは異なり、筆者名の記載がなく、兵士がラッパを吹いて進軍を呼びかける姿を描いたイラストが付されている。通常の社説、論説、政論などを超えた訴求力を企図したものと考える。

 内容は、先の党中央委員会第8期第3回全員会議の決定貫徹に向けた奮起の訴えである。

 まず、同会議の意義について前回会議と対比させる形で、「第8期第2回全員会議が党大会決定貫徹においてカギとなる意義を持つ今年の計画樹立において牽引性と力動性、科学性を保障する転換的な契機であったとするなら、党中央委員会第8期第3回全員会議は、計画遂行において無条件性と徹底性、正確性の気風を立てる重要な契機となる」と説明する。

 そして、これら会議決定遂行のため、「前よりも何十、何百倍の果敢な勇気と奮発力、燃える熱情と投身力を発揮」することを訴え、「党決定貫徹こそは、ほかでもなく我々自身の幸福と未来のための甲斐ある闘争である」ことも強調している。

 特に幹部に対しては、「革命の指揮メンバーである幹部は、誰よりも百折不屈でなければならず、決死貫徹の気風を体質化、習癖化しなければならない」ことを訴えている。

 また、分野ごとの訴えでは、「国の長男である金属工業部門労働階級」を冒頭に掲げて同部門への重視姿勢を示すとともに、「農事をしっかり営むことは、人民に安定した生活を提供し社会主義建設を成果的に促進するための全党的、全国的に最重大視して最優先的に解決すべき戦闘的課題である」とも主張している。更にこれらに続けて、「教育と保健、文化芸術をはじめとした文化建設の諸部門」に対しても奮起を呼びかけ、社会・文化的な側面にも相当腐心していることを示している。

 このほか、結びの部門では、金正恩への称賛に続けて、「千万人民よ、百戦百勝の鋼鉄の霊将、世界が仰ぐ天下第一偉人を革命の首領として、偉大な親(オボイ)として高く奉じた限りない矜持と自負心を抱いて勇気百倍、信念高く疾風怒濤のように進もう」と訴える中で、金正恩を「首領」と呼んでおり、注目される。

 なお、本日の「労働新聞」は、この評論のほかにも、第3回全員会議の決定貫徹に向けた各部門の取り組み状況を報じる記事などを多数掲載している。当面、そうした宣伝キャンペーンが続くのであろう。