rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2023年10月26日 社説「実質的な成果、実際的な結果を成し遂げよう」

 

 標記社説は、「全人民的な進軍気勢を倍加し人民経済発展12個重要高地に必ずや勝利の旗を翻そう」とのスローガンの下に掲載されたもので、同「高地」をはじめとする「今年の闘争課題」の必達を訴えるものである。

 まず、冒頭で今年の経済目標について、次のように整理している。

 「党中央は、党第8回大会が提示した(国家経済発展)5か年計画完遂のためのより高い目標と膨大な課題が提起されている今年を国家経済発展の大きな歩みを進める年、生産増大と整備補強戦略遂行、人民生活改善においいて鍵となる目標を達成する年と規定し、人民経済各部門において遂行すべき経済指標と12個重要高地を基本枠として定め、その占領方途を具体的に明示された」

 その上で、「今年の闘争課題」実現のための「実質的な成果、実際的な結果」を収めるため、次のような点を訴えている。

  • 「より実のある成果で今年を堂々と締めくくろうとの非常な覚悟と意志、我々の奮闘と努力でいくらでもやりとげることができるとの自信感と勇気を百倍、千倍に整えなければならない」ということである。
  • 「今年の闘争課題を立派な実体として、成功的に転換させるための作戦と指導をより緻密で迫力をもって行わなければならない」
  • 「幹部の主導性、創造性こそが高い事業実績であり、党決定執行の完結である」
  • 「大衆の精神力と愛国的熱意を増幅させるための思想戦の太鼓の音をより高く轟かせなければならない」

 同社説を見る限り、今年の目標達成のための方法は、総じて精神論に尽きるような印象を受ける。また、最初の項目の「自信感」などの表現からは、生産現場が相当に悲観的な雰囲気に包まれていることが、二番目の項目の「成功的に転換させる」との表現からは、これまでの実績が必ずしも順調でないことが、それぞれうかがえる。

 なお、余談ながら、最近気づいた疑問であるが、「国家経済発展5か年計画」完遂のための今年の目標が「人民経済発展12個重要高地」とされているのは、何故であろうか。「国家経済」と「人民経済」との間にはどのような違いがあるのであろうか。最近は、「国家経済」よりも「人民経済」との表現が多用されている印象があるが、それは何故であろうか。

 今年の北朝鮮経済もそうであるが、私の北朝鮮理解も「日暮れて道遠し」の感が一層深まる秋の日々である。