２０２３年６月２８日 社説「党中央委員会第8期第8回全員会議精神を高く奉じ我々式社会主義の全面的発展局面を新たに上昇させよう」
標記社説は、第８期第８回全員会議の「基本精神」について、「主動的で攻勢的な闘争により強大な我が国家の尊厳と地位をより強固にし、社会主義建設の各方面において活気に満ちた発展局面を非常に高潮させること」とした上で、同会議の意義及び「社会主義建設の全面的発展局面を一層向上させる」ための具体的課題などを次のように解説している。
- 意義①：「継続前進、連続攻撃により社会主義建設の全面的発展局面を新たに上昇させるという我が党の確固たる意志の誇示」：ここでは、党建設方針をはじめ、「人民経済の各分野において推進している整備補強、改造現代化事業を一層促進するための方策」、「（敵の）軍事的緊張激化策動を常に圧倒的で攻勢的な対応措置で粉砕するための具体的方案と対応方式」が提示されたことが言及されており、経済、軍事などの「全面的発展」路線が改めて確認されたことがうかがわれる。
- 意義②：「主体的力量をくまなく強化し、我々式社会主義の輝かしい未来を一日も早く引き寄せようとの我が党の革命的立場の発現」：ここでのキーワードは、「主体的力量」であり、それは、党や人民の力量を最大限発揮させることを意味すると思われる。具体的には、「（党の）規律監督部門の機構体系、事業体系改善」、「各級人民員会幹部の主導性、活動性を高め、代議員選挙方法を改善」、更には、「国の科学技術力、教育事業を発展させること」などが言及されている。
- 課題①：「敬愛する金正恩同志の領導は科学であり、真理であり、勝利であるとの鉄石の信念をより深く堅持」：「誰もが党中央と血脈で結ばれた血縁の情を一生の最大の栄光、何ものにも代えられない貴重な財産として堅持し、・・真正な忠臣、義理の人間にならなければならない」
- 課題②：「人民経済のすべての部門、すべての単位において党が提示した今年の闘争目標を無条件、正確に完璧に遂行」：「現行生産にのみ没頭する近視眼的な態度と断固決別し。設備管理、技術管理を正常的に予見性をもってしっかり行い、事故を未然に防止しなければならない」
- 課題③：「皆が忠誠と愛国の心を帯びて、国家復興発展に実質的な寄与」：「誰もが社会と集団、同志のため自らを惜しみなく捧げる共産主義的美風と美徳を発揮しなければならない」
- 課題④：「各級党組織の役割をくまなく高めなければならない」：恒例的主張
同社説の以上のような主張からは、今次全員会議が基本的に既存路線（特に、全面的発展路線、自力更生路線）の継続を確認したものであったこと、当面の課題として、金正恩に対する信任の確保や「共産主義的美風、美徳」の発揮が、経済計画の遂行と並ぶ重要な問題になっていることをうかがうことができる。
このうち、課題①（金正恩に対する信任確保）は、これまでも継続的に強調されてきた点であるが、課題③がそれと準じるほどに位置づけられたことは特徴的といえよう。その背景には、人々の利己的活動の増大・道義低下、更に言えば治安の悪化といった社会状況が存在するとも考えられる。
