rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2022年10月21日 社説「新時代5大党建設方向にしたがって全党強化発展の最全盛期を開いていこう」

 

 標記社説は、金正恩の党中央幹部学校訪問(17日)における記念講義の中で示された党建設方針を実践することの意義とそのための課題を論じたものである。

 なお、ここで、「5大建設方向」というのは、「政治建設」「組織建設」「思想建設」「規律建設」「作風建設」を指すものとされている(その具体的内容等は、18日付け本ブログ参照)。

 社説は、前段で、「金正恩同志が明らかにして下さった新時代津建設思想を徹底して具現していくこと」の意義として、①「全党が創党初期の崇高な理念と覚悟を堅持し高く発揚するようにするための先決条件である」こと、②「社会主義建設をより推し進め光明な未来を一日も早く引き寄せるための必須的要求である」ことの2点をあげている。

 そして、①に関しては、執権党が「勤労人民の要求と利益を実現するために生まれた自らの革命的性格と使命を忘却し、何かの主義だけを標榜しつつ権威主義的に進むなら、党の変色、分裂を防ぐことが出来ず、自らの生命の根である人民の支持基盤を失い、反革命の悪辣な挑戦と攻勢の前で存在自体も維持できなくなる」との「教訓」を示している。その上で、同思想を具現することで、「いかなる政治風波が押し寄せてきても純潔を失わず、より覇気と活力にあふれて人民のため無条件に服務する革命的党として、その尊厳と栄誉を力強く誇示することとなる」と主張している。

また、②に関しては、「党建設を先行させてこそ、党が主体的偉業を強力に牽引し打ち立てた目標を成果的に占領していくことができる」と主張している。

 後段では、そのための課題として、「何よりも、敬愛する金正恩同志の周囲に全党を一致団結させる闘争を引き続き深化させていく」ことをあげ、その焦点として、「総秘書同志の唯一的領導体系確立は、新時代党建設方向の中核である」と明言している。

 次の課題として掲げられるのは、「すべての党組織と党幹部は、人民大衆第一主義を徹底して具現していかなければならない」ことである。そして、「人民大衆第一主義は、我が党の根本理念、政治哲学である」と主張している。

 この他の課題として、「党組織の戦闘力と活動性を高め、我々式社会主義建設の新たな局面を開いていく」ことや「各級党幹部養成機関が自らの責任と本分を全うしていく」ことも掲げられている。

 こうした社説の主張からは、金正恩の「記念講義」が、党の現状について、官僚主義の蔓延により人民の支持、政策のけん引力を喪失しかかっているとの相当強い危機意識に裏付けられたものであったことがうかがわれる。そうした危機意識は、的確・賢明なものであるとも言えるが、その解決策の冒頭に自分自身の「唯一的領導体系」の確立を上げざるを得ないところに、北朝鮮体制の持ついかんともしがたい限界というか悲劇性を感じる。