2021年2月16日 社説「偉大な領導者金正日同志が主体の社会主義偉業遂行に積み重ねられた業績を限りなく輝かしていこう」
標記社説は、今日が金正日の誕生日(「光明星節」)に当たることを記念して掲載されたもの。まず、金正日の業績として、①「我が祖国を人民大衆中心の真の社会主義偉業国家として輝かした」こと、②「社会主義偉業をしっかりと守護し輝かすことのできる強力な政治軍事的力量を準備した」こと、③「我々式社会主義が自力富強、自力繁栄の歴史を進んでいけるしっかりとした土台を固めた」ことをあげている。
そして、今日、金正恩が金正日のこうした「思想と偉業を輝かしく継承」しているとした上で、次のような課題を掲げている。第1は、「金正日同志の社会主義建設思想と業績を固守し、徹底して具現すること」、第2は、「金正恩同志の思想と領導を忠実に奉じていくこと」、第3に「党事業と国家活動全般に人民大衆第一主義を徹底して具現していくこと」、第4に「第8回大会決定貫徹のための闘争に総邁進し、社会主義建設に新たな勝利を成し遂げること」である。これについては、「第8回大会と党中央委員会第8期第2回全員会議が提示した綱領的課題を無条件に徹底して貫徹してこそ、我が革命をもう一度高潮させ、人民により良く安定した生活条件と環境を準備することができる」と敷衍している。
以上のような社説の内容が金正日の業績に対する顕彰を名目にしつつも、それを今日、金正恩が進めようとしている路線・政策を正統化し推進するために再構成していることはいうまでもない。その点で注目されるのは、業績②における軍事力整備に関し、「核戦力構築」には一切言及していないことである。それを言ってしまうと課題の第1との関係上、それを「固守」しなければならなくなる。そのような意味で、なお、「非核化」の余地を残していると考えることができるのではないだろうか。
もう一つ注目されるのは、最後の「我が革命をもう一度高潮させ・・ることができる」との表現で、これは換言すると、現状について「退潮」傾向にあることを自認したものではないのだろうか。大会直後の中央委員会全員会議の開催という異例の措置は、そういった状況への危機感ないし焦慮の反映とも考えられる。