rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2022年2月16日 社説「偉大な領導者金正日同志の高貴な革命生涯と業績を長く輝かせ、主体の社会主義偉業を最後まで完成させていこう」

 

 標記社説は、いうまでもなく、今日が金正日誕生80周年記念日にあたることから掲載されたものである。したがって、大半の部分は金正日の業績称賛に当てられているが、最後部分では、「(そうした)偉大な将軍様金正日)の革命思想は、敬愛する総秘書同志(金正恩)によって絶え間なく深化発展されており、総秘書同志の領導は将軍様の革命生涯と革命業績を長く輝かしていくためのもとして一貫している」ことが主張されている。

 更に、「全党と全社会に敬愛する総秘書同志の唯一的領導体系をより徹底して確立し、革命と建設において提起されるすべての問題を党中央の唯一的結論に従って処理する鉄のような規律を立てていかなければならない」との訴えがなされている。結局、社説表題の金正日の「革命生涯と業績を長く輝かしてく」ということが意味するのは、まさにそれであったとも言えよう。

 この「総秘書同志の唯一的領導体系」との表現は、2月14日付け本ブログでとりあげた、第2回初級党秘書大会に関連して出てきた「金正恩同志の唯一的領導体系」との表現と事実上同一の概念であり、また、「すべての問題を党中央の唯一的結論に従って処理する鉄の規律」との表現は、昨日付けのブログで紹介した金正恩の第2回建設部門幹部大講習の参加者あて書簡中の「「建設事業において提起される問題を党に適時に報告し、結論にしたがって執行することを鉄則」とせよとの訴えと酷似するものである。

 こうして見ると、このところ随所で、国政全般に関し、金正恩個人にすべての決定権を徹底して集中させようとの志向で通底した様々な動きが顕在化しつつあることがうかがわれる。それが今後どのように展開していくのか、あるいは政治運営の実態において、どのような意味を持つのかなどについて、鋭意注視していく必要があろう。

 なお、本日の「労働新聞」は、15日、「偉大な領導者金正日誕生80周年慶祝中央報告大会」が金正恩をはじめとする党政府幹部出席の下(金予正もひな壇に登場)、三池淵市で開催(報告は李日換党秘書)されるとともに、各道、市・郡においても、それぞれ同旨の「報告会」が開催されたことを伝えている。また、先般来、同記念日(北朝鮮流にいうと「光明星節」)にちなんだ各種の行事(芸術公演、展示会、競技会など)が平壌はじめ各地で実に多彩かつ活発に実施されたことが伝えられている。そして、その多くは、政治的主張を前面に出すというよりは、同記念日を名目とした祝祭的(端的に言えば娯楽的)傾向の強いものが多いように感じられる。