rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2022年10月25日 論説「敬愛する金正恩同志は卓越した思想理論活動により革命を勝利へと導かれる偉大な首領であられる」

 

 標記論説は、「敬愛する金正恩同志の思想理論」について論じたもの。

 冒頭では、「敬愛する金正恩同志の革命思想は、偉大な金日成金正日主義の輝かしい継承であり、深化発展である。稀世の思想理論家であられる敬愛する金正恩同志がいらっしゃるがために我が党と革命の指導思想である金日成金正日主義がより発展豊富化され(る)」などと主張している。

 その上で、「1」においては、①「金正恩同志の思想理論は世紀を明らかにする松明であり、歴史発展をけん引する原動力であり、百勝をもたらす万能の宝剣である」こと、②「金正恩同志の思想理論の本質は、為民献身を根本核とする人民大衆第一主義である」こと、③「金正恩同志の思想理論の特徴は、時代と革命発展が提起するすべての理論実践的問題に完璧に回答を与える偉大な革命学説であるところにある」などと主張している。

 また、「2」においては、「金正恩同志の偉大な思想理論」について、①「天才的な叡智の高貴な結晶体」であり、②「革命偉業に対する崇高な責任感と無限大の熱情の産物」であると主張している。あわせて、同人の「人民を信じ人民の中に入られて革命の進路を探求される特有の領導風貌」を指摘し、それが「金正恩同志の思想理論が勝利の旗幟として輝きを発揮できる源泉である」とも述べている。

 最後の部分では、「(そうした)敬愛する総秘書同志の革命思想、革命理論を信念化、体質化した真の忠臣、これが今日の時代が望む本物の革命家である」として、金正恩の思想理論への絶対的帰依を訴えた上で、「思想理論の英才であられる敬愛する総秘書同志を首領として高く奉じた我が人民は、思想の宝剣、不可抗力の精神力により立ちはだかる挑戦と障害を果敢に撃破し、朝鮮革命の百勝の歴史と伝統を限りなく輝かしていくであろう」と結んでいる。

 長文の本論説の中で、最も注目されるのは、実は、冒頭の「金正恩同志の革命思想」と「金日成金正日主義」との関係を論じた部分である(本論は、新味のないレトリックに終始)。その理由は、かねて韓国で、北朝鮮の内部では「金正恩主義」との言葉が用いられているとの国情院の情報などに基づき、近いうちに、それが「金日成金正日主義」に代替するのではないかとの見方が有力なためである。

 そうした見方を背景に前掲の表現を読むと、まさに、そうした変化の前兆のようにも読めるし、逆に、「金日成金正日主義」はそのままにして、それと並行して(不即不離のものと位置付けて)「金正恩同志の革命思想」を大いに喧伝していく方針とも読み取れる。個人的には、後者の可能性が高いとの印象を持っているのだが、ここは、先入観を排して、慎重に推移を見極めていくべきであろう。