rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2021年6月29日 評論「革命家の思想精神的風貌の根本核 革命的首領観」

 

 標記評論は、金正恩をこれまでになく明確に「首領」と呼び、「革命的首領観」に基づく同人への忠誠を訴えるものである。

 まず、「革命的首領観」について、「革命闘争において首領が占める地位と役割に対する最も正しい見解と観点」、すなわち、「首領は社会政治的生命体の中心であり、人民大衆の意思を体現した最高脳髄」であるとの見方に立ち、「首領を心から高く奉じる立場と姿勢である」と説明する。そして、「首領に対する忠実性は、首領を限りなく尊敬しつき従いつつ、高く仰ぎ奉じ、首領の権威を絶対化し、首領の思想と意図を無条件に徹底して貫徹することに表現される」と主張する。

 その上で、金日成金正日と並べて金正恩の偉大性を論じ、「敬愛する総秘書同志は、我が党と革命、祖国と人民を勝利と栄光へと導かれる偉大な首領であられる」と断言している。

 そして、「すべての幹部と党員と勤労者は、透徹した革命的首領観を堅持して、我々の運命であり未来であられる敬愛する金正恩同志を政治思想的に、命を懸けて決死擁衛し、総秘書同志の思想と領導を一片丹心忠実に奉じていかなければならない」と結んでいる。

 5月上旬から散見され始めた金正恩の「首領」化言説は、2か月を経ずして定着段階に入ったようである。上記の文面を5月7日付け論説の遠回しな記述(同日付け本ブログ参照)に比較すると、まさに「始めは処女のごとく、終わりは脱兎のごとし」の感がある。