rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2021年6月10日 社説「革命的首領観でしっかりと武装した真の革命家になろう」

 

 標記社説は、「革命的首領観が確固としている人は、いかに困難な情勢が醸成されても革命的信念と信条を曲げず、首領の思想と偉業に最後まで忠誠を尽くし、革命家として価値ある人生を輝かせることになる」などとして、「革命的首領観」の確立を訴えるもので、それに基づき、次のような要求を掲げている。

 第1は、「敬愛する総秘書同志の偉大性と不滅の業績を心臓に深く体得」することである。そうして、「敬愛する総秘書同志がいらっしゃるから我々は必ず勝利するとの絶対不変の信念」を持った、「総秘書同志に運命も未来もみな託して、総秘書同志の思想と領導を真実で純潔に清らかで熱烈に奉じる真の忠臣」になることを求めている。

 第2は、「首領に対する忠実性は革命的信念と義理で堅持される」ことである。

 第3は、「党大会決定貫徹のための革命的進軍において首領に対する忠実性を高く発揮」することである。

 第4は、「すべての幹部は、日常の事業と生活の全過程を首領に対する忠誠心によって染めていくことを習癖化する」ことである。具体的には、「敬愛する総秘書同志の崇高な人民観、人民的作風を亀鑑」とすることである。

 第5は、「革命的首領観を徹底して確立するための思想教養事業を進攻的に展開する」ことである。ここでは、「特に新世代が忠実性の伝統を代を継いで継承し首領に対する忠実性を信念化、良心化、道徳化、生活化した革命の継承者、国の頼もしい働き手」となるようにすることに力を注ぐことを求めている。

 そして、最後に「皆が透徹した革命的首領観を帯びて、敬愛する総秘書同志の思想と領導を忠実に奉じ(る)」ことを改めて訴えている。

 見てのとおり、同社説において「首領」と「敬愛する総秘書同志」が置き換え可能な同義語として用いられていることは、これまで本ブログで繰り返し指摘してきたとおりである。

 そして、注目されるのは、同社説に限らず、それらの言説において、首領=金正恩に対する「忠実性」について、「信念化」(疑いをさしはさまないこと)、「義理による堅持」(制度的な義務感によるのではなく、自発的な忠誠の発揮)、「実践における発揮」(口先で忠誠を唱えるだけでなく、日々の課題(=党決定)の完全遂行という形での発揮)などが強調されていることである。

 「首領」という肩書は、そういった「忠実性」の内実を引き出すためのキーワードとして用いられているように見える。ただ、それが本当に効果のあることなのかは定かでない。魔法の呪文ではないとも思えるが、実際のところどうなのであろうか。